1月12日付のウォールストリート・ジャーナル紙で、同紙論説委員のフェイスが、韓国外交の漂流を懸念し、北朝鮮が近々危機を起こした場合、韓国は対応できるのだろうかと述べています。主要点は次の通りです。
スキャンダルが発覚して3カ月、韓国政治が混迷している。朴槿恵は弾劾され、今や大統領の運命は憲法裁判所の手中にある。北朝鮮の核脅威への対処に、韓国は不可欠の存在である。韓国がその役割を果たすためには安定した政治が必要だ。韓国は戦略的思考、強い軍、米国との健全な関係、日本との一層深い関係を持つことが必要だ。
朴槿恵は当初習近平に接近したが、その後それが無用だと分かり、米国の仲介も得た日本からの求めに応じ、2015年末に慰安婦について日韓で合意した。しかし朴槿恵は政治スキャンダルに見舞われ、左派は今や合意を破棄すべきだと主張している。左派活動家達が釜山日本総領事館前に慰安婦像を立てたことに抗議して、日本は大使と総領事を召還した。
報道によれば、韓国は、米国が提案していた日米韓3カ国の対潜水艦合同演習への参加を拒んだ。背景に反日感情の高まりと日米との関係強化に対する中国の懸念があったと見られている。6カ月前には、韓国が初めて日米と三国ミサイル防衛演習に参加し、その後、日韓は引き延ばされてきた防衛情報保護取決めを締結した。その直後に朴槿恵にスキャンダルが持ち上がった。
最大の問題は、韓国が決定通りTHAADミサイル防衛システムを配備するかである。次期大統領候補達は異なる考えを持っている。一方、中国は、韓国の化粧品の輸入などを規制し、9日には中国軍用機が韓国の防空識別圏を通過した。
次期大統領世論調査でトップにある野党の文在寅などはTHAADの配備延期を主張し、大統領になれば訪朝し、北朝鮮に年間1.3億ドルをもたらすとされる開城工業団地を再開すると述べている。
北朝鮮は、米国を攻撃する能力を持つICBMを発射するとみられている。選挙戦では韓国をフリー・ライドと批判していたトランプは、大統領選に勝った後は韓国を称賛し米韓同盟の重要性を再確認している。が、金正恩が近い将来に危機を起こした場合、韓国は対応できるのだろうか。
出 典:David Feith‘North Korea Advances, South Korea Drifts’(Wall Street Journal, January 12, 2017)
http://www.wsj.com/articles/north-korea-advances-south-korea-drifts-1484243137