世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年1月30日

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 米ヘリテージ財団のクリングナー上席研究員が、Naional Interest誌ウェブサイトに1月3日付で掲載された論説にて、対北朝鮮軍事攻撃は、核・ミサイルの開発阻止のためではなく、核やミサイルが実際に使用される急迫した事態に至った際に先制攻撃として行うべきである、と述べています。要旨、次の通り。

(iStock)
 

 北朝鮮首脳の新年の辞の分析は朝鮮専門家やメディアにとっては毎年の決まった仕事だ。しかし、新年の辞はおおよそ何の意味もないというのが現実だ。2017年はミサイル危機になるのか。一部メディアはICBM(大陸間弾道ミサイル)発射実験が迫っていることを大きく報道している。金正恩は新年の辞で、核大国として画期的な発展を達成したと述べ、ICBM発射の最終準備段階に入っていると述べた。

 北は12年12月に衛星を軌道に乗せたが、その時韓国が海底から回収したミサイルの落下物を調べた結果、韓国国防省はミサイルの射程は1万キロと推定した。一部専門家は1万3000キロの射程能力があると分析している(マイアミまでが射程に入る)。

 米国は何をすべきか。オバマ政権の政策は臆病な漸進主義だった。昨年ようやく執った追加制裁は、議会の圧力によるものだった。トランプ新政権は、直接の制裁と他国の第三者に対する制裁の双方を強化する余地があることを理解すべきだ。

 一部の人は、北がICBM能力を獲得するのを阻止するために軍事攻撃をすべきだと主張している。しかし、実際に米国に向けてICBMが発射されるのを阻止することと、そのようなミサイルが開発されるのを阻止することは区別すべきである。ミサイル等の生産、実験設備を攻撃すれば北との全面戦争になる。北による「戦略的な」攻撃が急迫する時まで先制攻撃を待つことが、より慎重な政策というべきである。

 韓国へのTHAAD配備を含め同盟国のミサイル防衛能力の強化を図ることは抑止力の強化になるばかりか、先制攻撃の必要性を低減することにより戦争勃発を先に延ばすことにもなる。

出典:Bruce Klingner,‘Kim Jong-un's New Year Speech Doesn't Mean Anything’(National Interest, January 3, 2017)
http://nationalinterest.org/feature/kim-jong-uns-new-year-speech-doesnt-mean-anything-18936

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