世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年2月8日

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 パキスタンのジャーナリスト、アーメド・ラシッドが、1月13日付フィナンシャル・タイムズ紙掲載のコラムで、米国がアフガンに作った真空にロシアが進出してきており、アフガン自身の混沌と相俟って、地域のパワーバランスを変えることになり得る、と指摘しています。要旨、次の通り。

(iStock)
 

 ソ連は、1989年にアフガンと同地域から撤退したが、今、その立場を再建しようとしている。米国のアフガン政策が手詰まりになる中、ロシアは、米国及びNATOのアフガン残留軍について、批判的な声明を出している。ロシアの外交官はアフガンの政治家との関係を築き、中国、イラン、パキスタンなどの近隣国にすり寄っている。最も重要な点は、ロシアはタリバンと対話していることである。その目的は、米国の地域における影響力を奪い、米国が失敗してきたアフガン政府とタリバンの間の和平プロセスを促すことだろう。

 12月に、ロシアはパキスタン、中国と会議をし、アフガンからの中央アジアへのテロの脅威、タリバンがどのようにISISとの対抗に使えるか、アフガンの長期にわたる戦争をどう終わらせるか、議論した。米国は、最近のシリアに関するロシア主導の会議と同様、排除された。アフガン政府も招かれなかった。アフガン政府は会議を批判したが、タリバンは自分たちが今や軍事的・政治的力として認められたとして会議を歓迎した。明らかに、ロシアとタリバンの接近が示唆される。

 依然として米国はアフガンの最大の援助国だが、過去1年、オバマはアフガンにほとんど関心を示さず、和平対話を促進する国務省の試みへの支援もしなかった。

 アフガンは混沌としている。タリバンは軍事的に多くの成果を上げ、政府は内紛で麻痺し、経済は悪化している。トランプが米国の援助を維持したとしても、アフガン政府は長く存続できないかもしれない。一方、イラン、パキスタン、中央アジアの近隣諸国は、タリバンとの秘密の対話を進めている。

 そして、米国が残した真空にロシアが入ってきている。ロシアは既に地域に多くの友人を持っている。中国、インド、イランは緊密な同盟国であり、パキスタンに接近している。ロシアがタリバンと友好的になることを、パキスタンもイランも歓迎しよう。中国も新シルクロード構想への莫大な投資を守るため地域の平和を欲しており、タリバンと折り合いをつけることを望むだろう。ロシアは現在、和平対話を促進する会議の開催について、最も強い立場にある。

 ロシアは今日、ISISをロシアの影響下にある中央アジアに浸透し得る主敵と見ている。アフガンにおける混沌とロシアの動きは、中央アジア、南アジア全体の力の均衡を変化させ得る。今のところ、ロシアの地域における野心は止められそうもない。

出典:Ahmed Rashid,‘Moscow moves into the Afghanistan vacuum’(Financial Times, January 13, 2017)
https://www.ft.com/content/9317a845-553c-341e-9ae9-5928bb5956f0

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