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2017年2月6日

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ドナルド・トランプ米大統領は5日、入国制限命令が連邦地裁命令によって執行停止された状態が続くなか、「何かあれば」判事と裁判所制度のせいだとツイートするなど、司法への批判を強めた。

大統領令の差し止めを命じたシアトル連邦地裁命令について司法省は4日に上訴したが、連邦控訴裁は、裁判所命令の即時執行停止請求については却下。大統領令に対する差し止め命令の取り消しを求める訴えについては、6日以降に審理する予定という。

トランプ大統領は、国を守る仕事を司法が「とても難しくしている」と批判し、「何かあれば判事や裁判所制度のせいだ。大勢がなだれ込んでる。良くない!」とツイート。大統領令の入国制限の執行差し止めを命令したシアトル連邦地裁のジェイムズ・ロバート判事を繰り返し批判し、「国土安全保障当局に、この国にやってくる人たちをとても慎重にチェックするよう指示した」と書いた(註・太字は原文では強調の意味の大文字)。

トランプ氏は4日にはツイッターで、ロバート判事を「いわゆる裁判官」と軽んじ、その判断を「ばかげている」などと非難した。

ホワイトハウスは当初、ロバート判事による司法命令に従わないよう関係各局に命令するなどの方針を示していたが、司法省は4日、大統領などを原告として上訴。入国制限差し止めの取り消しを求めるほか、差し止めの即時執行停止をサンフランシスコの連邦控訴裁に求めた。これに対して控訴裁は同日、即時停止の請求を却下。ホワイトハウスと、大統領令に対して提訴したワシントンとミネソタ両州政府に、さらなる資料をそれぞれ6日までに提出するよう命じた。

この控訴裁判断に伴い、大統領令で入国が制限された特定7カ国の国籍者で入国査証(ビザ)を持つ人は、裁判が決着するまで入国が認められる。もし控訴裁や差し戻し審でも大統領令の執行停止命令が維持されれば、連邦最高裁に上告される可能性は高い。

トランプ氏が1月末に署名した大統領令は、政府の難民受け入れプログラムを120日間停止するほか、シリア難民の受け入れを無期限停止し、イラク、シリア、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンから米国を訪れる人には90日間、ビザを認めないと命令した。

上訴にあたって司法省は、ロバート判事が国家安全保障問題について大統領判断に「異議を唱えた」のは、司法権限の逸脱だと批判。米国に誰が入国できて誰が滞在できるかを決められるのは、大統領のみだと主張している。

これに対して、大統領令の取り消しを求めるワシントンとミネソタ両州は、入国禁止命令は違憲で、有効なビザを持つ人たちの渡航を適正な法の手続きもないまま禁止していると主張。さらに、大統領令はイスラム教徒のみを禁止対象にしているかのようで、これは憲法が保障する信仰の自由を侵害すると主張している。

国の裁判官や裁判所に対するトランプ氏の発言について、民主党だけでなく一部の共和党幹部からも批判の声が上がっている。

上院司法委員会のパトリック・リーヒー議員(民主党)は、トランプ氏が「憲政の危機を引き起こそうとしている」ようだと批判。共和党のミッチ・マコネル上院院内総務はCNNで、「個々の裁判官を批判するのは避けるのが賢明だ」と述べた。

ロバート判事は2004年に当時のブッシュ大統領に指名されて以来、連邦判事を務めている。

入国制限差し止め判決を受けて、国務省はビザ取り消しの撤回を発表。国土安全保障省は職員に、裁判所命令に従うよう指示した。この機会をとらえて、大統領令に影響を受ける国々の人たちが急きょ米国に入国している。

トランプ大統領が1月末に署名した入国制限命令を受けて、米国各地の空港では混乱と抗議が続いた。政権は、ビザを撤回されたのは百人余りに過ぎないと説明しているが、国務省は3日、6万人近くがビザを失ったと明らかにした。

(英語記事 Trump calls for 'careful' border checks after travel ban setback

提供元:http://www.bbc.com/japanese/38876973

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