オトナの教養 週末の一冊

2017年3月10日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

 ヨーロッパでは、以前よりフランスの国民戦線を筆頭にポピュリズム政党の躍進が伝えられてきた。昨年のアメリカ大統領選挙でのトランプ大統領の勝利により、いよいよポピュリズム旋風が世界を覆うのか――。

 現代政治を読み解くキーワードとも言える「ポピュリズム」について、『ポピュリズムとは何か-民主主義の敵か、改革の希望か』(中公新書、2016年)を上梓した千葉大学法政経学部の水島治郎教授にポピュリズムの特徴、そしてトランプ大統領、ヨーロッパ各国でのポピュリズムの現状などについて話を聞いた。

――ポピュリズムは既成の政党政治と比べると、どんなところが特徴的なのでしょうか?

水島:まず既存の政治は、支持層、支持層が加入している団体、そしてその団体が支持する政党という3層構造で成り立っていました。例えば、かつての日本では、農業組合や労働組合、中小企業団体といった組織があり、人々はそれらに属していました。その組織が政治家を推薦したり、政党を支援するという構造でした。しかし、近年、既成政党の弱体化が顕著です。これまでのように、例えば労働組合に依存している社会民主主義政党が、選挙で4割の票を得ることが出来れば、ポピュリズム政党に入り込む余地はありません。ところが、現在は右派も左派も支持基盤が弱体化しています。これはヨーロッパでも日本でも同じ状況です。

 これに加え、労働組合への加入率や活動の活発さなどを見ても、かつての政党の支持基盤であった20世紀型の団体は活動が低下しています。そのため、ある政党が特定の団体の支持を得たからと言って、選挙で勝利を得られるとは限りません。

 それに対し、ポピュリズムはこうした団体をバイパスします。有権者と直接的にコミュニケーションを図り、既成政党や既成団体に対する違和感やそこから漏れてしまった人たちを上手くすくい上げるため、ポピュリズム政党へは支持が集まりやすい。

 つまり、サイレントマジョリティといった既成政治からもれてしまった人民を中心に据え、党の指導者自らが人民を直接代表していることを主張します。

 例えば、ポピュリズム政党は国民投票や国民発案を主張する傾向が強い。事実、オーストリア自由党は国民投票を広く導入するなどの主張を、フランスの国民戦線は国民投票などを通じた国民の意志の反映を主張しています。

 国民投票は、国民の総意による民意をどう表すか、という時に究極の手段でもあるわけです。ポピュリズムとデモクラシーが重なる面と言えます。だからこそ、ポピュリズムは反民主主義とは一概には言えません。まず、その点が既成政党との大きな違いです。

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