地域再生のキーワード

2017年6月10日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

 広島県大竹市玖波(くば)地区。カキの養殖が盛んな瀬戸内海沿いの人口4500人ほどの小じんまりした町である。そんな町の南側にある古ぼけた公民館に昨年、突如としてスポットライトが当たった。

 2015年春のこと、文部科学省が毎年行っている優良公民館表彰で、「日本一」に選ばれたのだ。さらに秋には、広島県が開いた地方創生のチャレンジ・フォーラムで、「まち部門」の優秀事例として表彰された。

人が集まる仕組み

 地域が元気になるその中心に、公民館がある─。それ以来、全国各地から大竹市立玖波公民館への視察や取材が相次いでいる。公民館といえば、卓球やバドミントンなどの軽スポーツができたり、図書室があったり、地域の活動で会議室を借りられたりと、「場所提供」で終わっているところも少なくない。ところが、玖波では、公民館に住民が集まって来る「仕掛け」が出来上がっているのだ。

 実は、その仕掛けを作り上げた人物がいる。河内(こうち)ひとみさん。公民館のたったひとりの職員である。10年ほど前から働き始めたが、5年ほど前に「学びのカフェ」という講座を月に1回のペースで始めた。

「地域ジン」の皆さん

「ダサい、暗い、野暮ったい公民館を、明るく、オシャレな空間にイメージチェンジしようと思ったんです」と河内さんは笑う。講座の合間にもカフェタイムを設けるなどムードを一変させた。「まずは住民に集まってもらうために、楽しいものを企画した」。

公民館の裏手はすぐ港

 さらに「生きた講座」にするために河内さんは工夫をこらした。地元の有名なヨットマンの講演を依頼した際には、公民館のすぐ裏手の港に実物のヨットを停泊してもらい、実際に乗船見学してから話を聞いた。

 また、貴婦人のお茶会と銘打って、とっておきのカップを持参してお茶を入れ、本物のメイドさんに給仕をしてもらった。普段とは違う「異次元空間」を演出したのだ。「公民館の講座は最近変わったことをやっている」。徐々に評判になり、人が集まるようになった。

大竹市玖波地区:古くから山陽道(西国街道)の宿場町として栄える。瀬戸内海を挟んで宮島が目の前にあり、カキの養殖が盛んに行われ地元の主要産業になっている

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