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2016年7月9日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

 東京から豊岡市に戻った田口幹也さんは、都会から迎える友人に城崎の良さを気づかせてもらった。そして、「おせっかい」から始まった取り組みが、国際的な舞台芸術、「本と温泉」へと広がっていった。

豊岡市城崎町 2005年に豊岡市、城崎町などが合併して豊岡市となった。人口は8.5万人で城崎温泉のほか、コウノトリの復活、鞄の生産でも知られる。
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 志賀直哉の短編小説『城の崎にて』で有名な兵庫県北部の城崎温泉。木造3階建ての旅館が並び、浴衣がけに下駄ばきの男女が、7つある外湯を巡り歩く。そんな昔ながらの日本の温泉街の風情を求めて、最近では外国人旅行者の人気も集めている。

 伝統的な温泉街に2014年4月、まったく新しい「顔」が生まれた。城崎国際アートセンター(KIAC)。温泉街の一番奥まった場所にある。

 新しく生まれたと言っても、よくある「ハコモノ」を新築したわけではない。もとは1983年にできた「城崎大会議館」という県の施設で、城崎温泉がある豊岡市に移譲された後も、年間20日しか稼働しない〝お荷物施設〟だった。それをアイデア首長として知られる中貝宗治市長の号令で一新して生まれたのがKIACだ。芸術家に一定期間滞在してもらい、創作活動を通じて町おこしにつなげる「アーティスト・イン・レジデンス」である。

 1000人が収容できる大ホールに6つのスタジオを備え、22人が泊ることができる宿泊室がある。公募で選ばれたアーティストは最短3日から最長3カ月まで滞在することができ、宿泊費やホール、スタジオの使用料は一切無料。その代わり、アーティストは、地元向けの公開リハーサル、住民との交流プログラムなどを行う。

 アーティスト・イン・レジデンスに取り組む市町村は全国に数多い。KIACの特長は舞台芸術に特化し、世界に目を向けたことだ。オープンすると舞台芸術家の間ですぐに評判となる。14年には映画女優のイレーヌ・ジャコブが滞在。2年目の15年度は4カ国16組がKIACを舞台に創作活動を展開した。振付家のルカ・シルヴェストリーニが城崎の住民たち約60人とコミュニティー・ダンスの作品を作った。16年度はすでに選考を終えており、7カ国から17団体がやって来る。

 もちろん、豊岡市が看板を掲げただけで、芸術家が集まってきたわけではない。舞台回しのキーマンがいた。

城崎国際アートセンターの大ホール(左)とスタジオ(右)

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