ベストセラーで読むアメリカ

2017年3月30日

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■今回の一冊■
PORTRAITS OF COURAGE
筆者George W. Bush
出版社Crown

『PORTRAITS OF AMERICA』(George W. Bush,Crown)

 これぞアメリカならではのベストセラー書だ。息子ジョージ・ブッシュ元大統領が引退後、なんと趣味で油絵を描き始めた。そのブッシュ元大統領が自ら絵筆をとって描いた作品70枚をフルカラーで収録している。しかも、その絵というのが、イラクやアフガニスタンなど戦場で負傷し腕や脚を失った元兵士たちの肖像画だ。本のタイトルも直訳すると、そのものズバリ「勇気のポートレート集」だ。

 肖像画のモデルたちは戦地で負傷し体や精神に障害を抱える元兵士たち98人だ。しかも、いずれもブッシュ元大統領が実際に会って話をしたことがある人たちで、本書では肖像画とともに元兵士たちの経歴や戦地での経験、負傷した経緯や、退役した後の苦労などを紹介している。本書の基本的な構成としては、肖像画ひとつごとに、モデルとなった元兵士に関する説明が数ページずつ続く。

 ブッシュ元大統領は在任中に起きた2001年9月の同時多発テロを受け、イラクやアフガニスタンへとアメリカ軍を派兵した。戦争を指揮した大統領であり、引退後も退役軍人たちの社会復帰を支援する慈善活動に取り組んでいる。戦地での負傷により障害を抱える元兵士たちを招くマウンテンバイク・レース大会やゴルフ・コンペ大会なども開催し、そうした場で元兵士たちと交流を重ねてきた結果、生まれたのが本書だ。

肖像画を描き始めた理由

 本書のメッセージとしては、次の一文が最も簡潔で分かりやすい。

 It is our privilege, and our responsibility, to acknowledge their service and their sacrifice.

 「彼ら元兵士たちが捧げた奉仕と犠牲について知ることは、われわれの特権であり、われわれの義務である」

 アメリカ国民も国のために戦ってくれる兵士たちを英雄として尊敬する気持ちが強いのだろう。本書はニューヨーク・タイムス紙の週間ベストセラーリスト(ノンフィクション単行本部門)に3月19日付で1位で初登場し、リスト入り3週目となった4月2日付のランキングでも3位につけている。

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