質問:夜中に発熱したときなど、救急車を呼んでいいのかどうか迷います。タクシーもすぐに来てくれるわけではありませんし……。救急相談センター(#7119)に電話してみると「とりあえず来てみてください」と言われ、実際に夜間診療に行ってみると「2、3日様子を見てください」と何だか取り越し苦労だったのかな、と思ってしまったこともありました。
答え:誰が見ても明らかに大変な症状であれば、救急車を呼ぶのに躊躇することはありません。嘔吐や下痢が続きぐったりしているといった場合や、息がゼーゼーヒューヒューして寝られない場合も、救急車でなくても病院に行ったほうがいいでしょう。
答える人 石橋涼子先生(石橋こどもクリニック院長)
救急車を呼ぶべきかどうかは判断が難しいこともありますが、「けいれんが止まらない」「顔色が紫色」「意識がない」「肩で息をしていて苦しそう」などは問答無用で救急車を呼んでください。救急車よりも自家用車で行ったほうが時間的に早い、という場合もあり、症状によってはそれでよいのですが、救急車には救急処置に慣れた隊員が複数同乗し、車内でAEDや酸素を使うなどの処置ができます。重篤な症状の場合はこれが重要になってきます。
また嘔吐や下痢が止まらなくてぐったりしている場合は、点滴を受ける必要があるかもしれません。救急車でなくてもすぐに受診したほうがいいでしょう。
救急相談センターでも、電話でのヒアリングから緊急性の確認はしているのだと思います。よほど心配のないケースは「様子を見てください」と伝える場合もあるかと思いますが、電話だけではそこまで判断しきれないこともあります。夜間に受診すべきかどうかは、言い換えれば翌朝まで待っても支障ない状態なのかどうかということですが、特に年齢の低い乳幼児では「念のため受診ください」となることは多いと思います。
日本小児科学会のサイトに「ONLINE QQ子どもの救急」というものがあります。これを、実際に症状が出てしまったときにその場で使うのはなかなか難しいと思いますが、スマートフォンでも利用できるので、時間のあるときに少しずつ試してみると緊急時の判断がしやすくなるのではないでしょうか。「気になる症状」を選んで、当てはまる項目をクリックしていくとどうすればいいかがわかる仕組みになっています。
たとえば「意識がおかしい」を選ぶとどこにチェックを入れようが「救急車で病院に行く」となるので、意識障害の危険性がよくわかります。「ウンチが変」では「ノリの佃煮のような黒くて粘っこいウンチ」「イチゴジャムみたいなウンチ」といった表現があって、便の状態の多様さをあらかじめ知っておくことができます。
もうひとつ注意してほしいのは、喘息など呼吸器系の症状です。20年前くらいなら、ちょっと息が荒いくらいなら様子を見て経過を見る、という考え方が主流だったかも知れませんが、一晩頑張った結果朝受診した時には発作がひどくなって入院が必要になってしまうことはよく見かけます。ゼーゼー、ヒューヒューと音がしたり、咳がひどくて寝られないといったとき、発作時用の薬が手もとにないとか、手持ちの薬を使っても良くならないという場合はまず受診し、吸入などの処置を受けましょう。かつての考え方が通用しなくなっている分野もかなり多いので、ご自身やご両親時代の経験則だけで判断しないことも大事です。
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