2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年4月26日

 ラックマンが言うように、北朝鮮に対する攻撃が、北朝鮮の報復を招き、多大の被害をこうむる危険が大きいというのは、その通りでしょう。3月20日付のニューヨーク・タイムズ紙も、北朝鮮に対する軍事行動が、どのような形を取るにせよ多大な被害をもたらす危険があるとの、詳細な解説記事を掲載しました。

自暴自棄の行動はしない

 金正恩が「気違い」であると言いますが、政権の存続が最大の関心事であるのは間違いありません。ということはいくら「気違い」じみていると言っても、北朝鮮には失いたくないものがあるということであり、自暴自棄の行動はしないということです。これは米国、そして日韓両国にとって梃子になり得ます。しかし問題は北朝鮮の指導部が生存のためには核武装が不可欠と考えていることです。北朝鮮はあらゆる犠牲を払ってでも核武装は止めないでしょう。

 論説は軍事行動ではなく、そのような北朝鮮に対して、米国が北朝鮮の政権を転覆しないことを保証し、経済支援を与える代わりに北朝鮮が核計画を凍結するという「大取引」を考えるべきである、と言っています。しかし「大取引」の問題は北朝鮮による核計画の凍結です。1994年の枠組み合意に見られるように、北朝鮮は一旦凍結に合意しても、なし崩し的に核計画を再開しています。「大取引」においても北朝鮮が同様の行動に出る可能性が高いです。

 どのようなシナリオを考えても、北朝鮮の核開発の推進を防げないとすれば、最後は論説の言うように、過去ソ連(ロシア)などの核と共存してきたように、北朝鮮の核と共存する以外にないのかもしれません。しかし北朝鮮の核との共存は、日本の安全保障にとって重大な問題です。日本は北朝鮮の核に如何に対処すべきかについて、真剣に検討すべきです。

  
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