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2017年4月25日

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北朝鮮は先日の盛大な軍事パレードで、大型も含め多数のミサイルを披露した。だが北朝鮮のミサイル能力について、私たちには実際どれだけのことが分かっているのか。米カリフォルニア州のミドルベリー国際大学院モントレー校ジェイムズ・マーティン不拡散研究センターの軍事専門家、メリッサ・ハンナム上級研究員が解説する。


金正恩・朝鮮労働党委員長は北朝鮮を建国した祖父、故金日成主席の生誕105周年を記念して大々的なパレードを実施した。公開された新兵器の数は過去最多で、その中には大陸間弾道ミサイル(ICBM)も含まれていた。

正恩氏はパレードで国内に技術の力と発展を見せつけ、国外に対しては「近くにいようと遠くにいようと、いずれ射程に収めてやる」と脅しをかけた。

北朝鮮は正恩体制の下、国連制裁決議に違反するミサイル実験を加速させてきた。だが実験の結果、北朝鮮のミサイル能力に何か変化は起きているのだろうか。

北朝鮮によるミサイル開発の始まり

北朝鮮の弾道ミサイル計画は、史上最も広く拡散したミサイルのひとつ、旧ソ連製の「スカッド」から始まった。

1979年にエジプトのサダト大統領(当時)が北朝鮮と交わしたミサイル技術提携合意の一環として、少数のスカッドを供与。北朝鮮はそれを分解して研究し、これをもとに国産ミサイル「火星(ファソン)5」「火星6」の製造と実験を始めた。

やがてスカッドの射程を伸ばし、大型化したミサイル「ノドン」の開発に成功した。

さらにはノドンのエンジンを束ねる「クラスター化」に着手し、大気圏外まで積載物を運べる多段式のロケット「銀河3」を開発した。

スカッド系は先進的なミサイルではないが、信頼性が高く製造コストも比較的低い。ノドンには核搭載能力があり、パキスタンとイランに輸出までされている。

だが北朝鮮が進展をめざした技術はこのほかにもあった。

隠しやすいミサイル開発

北朝鮮は近年、旧ソ連の潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)「R27」を複製して改造し、グアム島の米軍基地を射程に収める車載移動式の中距離弾道ミサイル「ムスダン」を開発した。

ムスダンは何年か前から軍事パレードに登場していたが、発射実験は2016年に始まったばかりだ。

6回重ねた実験のうち、目ぼしい成功を収めたのは同年6月の1回だけだった。

しかし実験のたびに改良が加えられたてきた変化の過程は、振り返ると興味深い。例えば、実験の失敗で移動式発射台(TEL)のトラックが大きく破損すると、次の実験にはタイヤや車台を保護したTELが登場した。

そしておそらく、ムスダンには核弾頭を搭載する能力がある。

北朝鮮のミサイルはほとんどが車載移動式だ。つまりミサイルをTELに載せ、国内各地を絶えず移動させておくことができる。TELのトラックはトンネルや倉庫、ざんごうや洞くつに隠しておける。常に移動させ、隠し続けることによって、ミサイルは探知されにくくなる。

水中から発射できるミサイル

2016年はもうひとつ、SLBMの分野でも重要な年だった。「北極星」と呼ばれるSLBMの発射実験は2015年に大失敗を繰り返した後、いくらか前進し始めたのだ。

水中の発射台からミサイルを打ち上げたが、当初は発射に成功してもエンジンが点火しなかったり、短い距離しか飛ばなかったりした。しかし2016年4月に液体燃料でなく固体燃料を使ったエンジンで実験を行ってからは、成功率が上がっている。

北朝鮮のSLBMは、米国やロシア、中国が保有するSLBMに比べると脅威ははるかに小さい。実験をさらに重ねない限り、信頼性は低いままにとどまるだろう。そのうえ北朝鮮の潜水艦は音が大きく、探知されやすい。北朝鮮のSLBMはさまざまな意味で、実戦用というより国内向けの「威信」が目的といえる。

とはいうものの、北朝鮮が東部・新浦(シンポ)にある潜水艦造船所の整備に相当の投資をしていることが、衛星画像からうかがえる。つまり、SLBM計画はまだ始まったばかりなのだ。

新浦近郊では、先日のパレードに登場し、米国が「KN17」と呼ぶ地上配備型対艦弾道ミサイルの実験も行われている。これまで2回の実験は失敗したものの、その存在は米国や韓国、日本の艦艇に警告を促すものだ。

固体燃料を使うミサイル

北朝鮮は今年2月、固体燃料を使うSLBMの地上配備版「北極星2」をTEL上の発射筒から打ち上げる実験を行った。

北朝鮮のミサイルには従来、スカッドと同じ液体燃料が使われていた。液体燃料は信頼性が高く安価だが腐食性があり、ミサイルに注入したままの保存ができない。つまり、ミサイルの移動には燃料と酸化剤を載せた複数のトラックを同行させる必要があり、大規模な車列になるため偵察衛星から発見されやすくなる。またミサイルに燃料が入った状態で移動したり保管したりできないため、打ち上げの準備に時間がかかる。

例えばトラックがトンネルから出てミサイルを立ち上げたら、そこへ燃料を注入し、狙いを定めてから打ち上げることになる。

だが固体燃料なら通常はミサイルの中に入れておけるため、実戦での打ち上げで貴重な時間を節約することができる。

北朝鮮は先日のパレードで固体燃料方式のICBMが入っているとみられる発射筒を披露し、固体燃料への熱意をうかがわせた。

発射筒の中身は空だった可能性もある(だれにも見えないのなら、ミサイルを入れておく意味はない)。だがこれを設計コンセプトとして、今後さらにパレードや部品の実験を重ねながら開発が進む可能性は高い。

また2016年初め以降の経緯をたどると、北朝鮮はミサイル技術の開発だけでなく、実際の配備にも力を注いでいることが分かる。

2016年9月には弾道ミサイル3発、2017年3月にはさらに4発を連射した。複数のミサイルを同時に発射すれば、追跡や迎撃は難しくなる。韓国への配備で論議を呼んでいる最新鋭の弾道ミサイル防衛システム「THAAD(サード)」にとっても、これは難題だ。

では北朝鮮に長距離ミサイルはあるのか

北朝鮮のミサイルは米国に届くのか。米国人はこの点に最も強い関心を持っているようだ。

ICBMを保有する主な理由は核攻撃だ。このようなミサイルに通常弾頭を搭載してもほとんど意味がない。

北朝鮮のパレードにICBMが初めて登場したのは2012年。「KN08」と呼ばれるミサイルに加え、中国から密輸したトラックをTELとして披露した。このミサイルは当初「偽物」と批判されたが、後に改良が加えられ、本物としての信ぴょう性が高まった。先日のパレードでは大幅に改良されたKN08とともに、固体燃料方式のICBM2種類が登場したとみられる。

北朝鮮のミサイル能力はこれまで何十年も否定されてきたが、注意すべき重要な展開がいくつかある。

北朝鮮は2015年、「KN14」と呼ばれるICBMを公開してみせた。2016年のプロパガンダ(政治宣伝)に使われた画像や映像には、ICBMに必要とされる要素が事実上全て紹介されていた。

まず正恩氏がKN08と、同ミサイルへの搭載用とされる核弾頭の間に立つ写真が公開された。そして同じ月のうちに、大気圏へ再突入する飛翔体に使う耐熱シールドの模擬実験が実施された。再突入は、宇宙への打ち上げロケットとICBMを区別する重要な部分だ。

ICBMはロケットと同じように大気圏の外へ出るが、その後再び大気圏内まで弾頭を持ち帰る必要がある。再突入の熱と圧力に耐えられることを確認するのが模擬実験だ。

また北朝鮮の技術者たちは2016年4月、旧ソ連製R27エンジンの改造版を2基束ねた新型エンジンの実験を行い、高エネルギーの推進剤を使う技術を獲得したとみられる。この実験ではスカッド系のエンジンで通常みられる黄色の煙ではなく、ピンクがかった紫色の半透明な煙が排出された。

煙の色の変化が高エネルギー推進剤を使ったためだとすると、これを使ったICBMの射程にはアラスカ半島やハワイだけでなく、ロンドンやワシントンまで入る恐れがある。より良い燃料を使えば、より重い物をより遠くまで運ぶことが可能になるからだ。

では北朝鮮はいつICBMの発射実験に踏み切るのだろう。準備万端が整ったら、というのがその答えだ。

パレードに登場した固形燃料方式の新型ICBM2種類は、実験するまでにまだ何年もかかる。しかし昨年亡命した北朝鮮の元駐英公使、テ・ヨンホ氏によると、2017年末か2018年初めまでにICBMをひとつ完成させるのが北朝鮮の目標だという。実験と完成は全く別の話だ。

北朝鮮がこの日程で実験を目指すのはおそらく、液体燃料方式のICBM、KN08だろうと思われる。このタイプが最も完成に近そうだからだ。

しかし配備が可能になるまでには、何度か失敗を繰り返す可能性も高そうだ。

(英語記事 Have North Korea's missile tests paid off?

提供元:http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-39702574

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