WEDGE REPORT

2017年5月2日

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崔 碩栄 (チェ・ソギョン)

ジャーナリスト

1972年韓国ソウル生まれ。韓国の大学で日本学を専攻し、1999年渡日。関東地方の国立大学で教育学修士号を取得。日本のミュージカル劇団、IT会社などで日韓の橋渡しをする業務に従事する。現在、フリーライターとして活動、日本に関する紹介記事を中心に雑誌などに寄稿。著書に『韓国人が書いた 韓国で行われている「反日教育」の実態』(彩図社刊)、『「反日モンスター」はこうして作られた-狂暴化する韓国人の心の中の怪物〈ケムル〉』(講談社刊)がある。

 5月9日の韓国大統領選挙まで、残すところ1週間余りとなった。最新世論調査(4月30日 エースリサーチ調べ)による主要3候補の現在の成績をみると、最大野党・共に民主党の文在寅候補が41.1%で1位、共に民主党から離脱した勢力で結成された国民の党の安哲秀候補が21.5%で2位、保守与党である自由韓国党の洪準杓が20.8%で3位につけている。

 政策も性格も異なる3候補は、その支持率を見てもそれぞれ全く異なった動きを見せている。

 昨年の年末から40%前後の支持率で安定してトップを独走する文候補。最大37%まで支持率を伸ばし、文候補の脅威となっていたのにも関わらず最近失速、21%まで支持率を落とした安候補。これまでずっと1桁台の低い支持率に留まっていたが最近盛んに行われ始めたTV討論のたびに支持率をじわじわと伸ばし、20%台に乗せてきた洪候補。

左から、文在寅、沈相奵、劉承旼、安哲秀、洪準杓、大統領選候補者の各氏(GettyImages)

前例のない現象 “揺れる票心”

 今回の選挙で注目すべき点は歴代選挙において前例がないほどの「揺動性」だ。全ては朴槿恵大統領の弾劾という韓国史上初めての事件に端を発している。この一連の事件に伴って起こった反朴陣営によるロウソクデモ、そして、親朴陣営によって起こった太極旗デモにみられるような一種興奮状態の中での、僅か1カ月半という短期間での大統領選出作業は世論や国民感情を大きく揺れ動かしながら進行している。

 支持率が大きく揺れ動いた例を見ていこう。

 まず、共に民主党の統一候補が文在寅氏に正式に決まると、僅か1週間の間に安哲秀候補の支持率が19%から35%に急騰し、またそれから2週間が経った今は21%に急落している。急騰の理由は共に民主党内の決選で文候補に敗れた他候補の支持者たちが同じ党の文候補の支持に回る代わりに、安候補に流れたからだった。

 4月中旬まで7〜9%程度で低空飛行していた洪準杓の支持率は最近の僅か2週間で2倍に近い20%まで伸びた。4月に入って活発に行われるようになったTV討論で洪候補がみせている、揺れ動くことのない確固とした所信と、ストレートな発言が今回の選挙を諦めかけていた保守層の支持を呼び戻しているのだ。この動きは安候補の側から見れば、保守層の支持を奪われたという事になる。洪候補の人気上昇とともに安候補の支持率が10%以上急落したからだ。

 このように、小さな理由一つで候補者たちの支持率が大きく揺れ動いているのが今回の韓国大統領選挙の特徴である。おそらく、この前例のない現象は、残りの7日余り、選挙当日まで続くことだろう。

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