7月11日投開票の参院選で民主党が大敗し、衆参両院で多数派が異なる「ねじれ国会」が生まれ、菅直人政権の行く末は不透明感を増している。中国の胡錦濤指導部は、不安定化する菅政権、そして停滞と漂流を続ける「日本」をどう見ているのだろうか。
日本政治の行く末に苛立つ中国メディア
「日本の政局は激烈な動揺期に入った可能性がある」
こう指摘したのは中国共産党機関紙・人民日報(7月12日付、東京発)。猫の目のような首相の交代を「十年九相」と表現した国営新華社通信(同12日配信、北京発)もこう伝えた。
「参院選の結果はおのずと日本政局に『変数』を増やした。民主党政権が『ねじれ国会』という難局を解決するには厳しい試練が待ち受けているだろう」
一方、参院選を菅首相の「中間テスト」と位置付けた上海紙・解放日報は、「なぜこの試験に落第したのか」「民主党の運命はいかに」と問題提起した。
「見えない」日本政治の行く末に中国メディアも苛立ち、報道は盛り上がりに欠ける印象だが、日本の不安定な政治と経済の停滞を結びつける論評があったことは注目に値する。
「20年に及ぶ日本政局の不安定期は、ハブル経済崩壊後の日本経済停滞の20年でもあった。伝統的な経済刺激策と社会保障政策によって日本政府は借金で首が回らなくなっており、継続は困難だ。難局を抜け出すには改革実行が不可欠だが、改革には陣痛が伴う。日本政局の変化はある程度、国内利益の衝突が集中的に表れたものだ」(12日新華社)
ねじれ国会「日本経済に『泣き面にハチ』」
北京紙・新京報もこうした見出しを掲げた。
「『ねじれ国会』、日本経済に『雪上加霜』(泣き面にハチ)?」
日本の「没落」は、東アジアにおける中国の影響力を相対的に高める結果につながり、中国メディアは「対岸の火事」というところもあるだろうが、「民主党の大敗はない」(中国政府筋)と予測していた胡錦濤指導部にとって今回の参院選は全くの「誤算」。「今回の参院選で勝利した民主党を核に日中関係も本格的に安定させたい」(共産党筋)というのが本音だった。しかしそれと逆の結果を受け、「日本」という国とどう向き合っていいか迷い、その悩みは日本の首相が交代するごとに深くなっていく一方だ。
2010年は日中「構造変化」の年
胡指導部は2010年を「中日関係の構造的変化の年」ととらえている。中国政府の対日関係当局者はこう解説する。
「これまで両国の関係は、カネ、ヒト、モノは日本から中国という流れが主流だった。しかしここに来てこの流れが双方向的になっている」