プロ野球セ・パ交流戦、最後は大方の予想通り、ソフトバンクが通算8度目、3年連続で頂点に立った。球団史上初の交流戦1位を狙った広島に対し、ソフトバンクが常勝球団としての地力と貫禄を見せつけた形である。
その半面、2005年に始まり、今年で13年目のこの交流戦も、様々な意味で曲がり角を迎えているような気がする。先週末の16~18日、「最高勝率争い」の直接対決となった広島-ソフトバンク3連戦を取材しながら、いま両リーグの交流戦を行う意義とは何なのか、改めて考えさせられた。
盛り上がったことは盛り上がった。交流戦でセの球団が優勝したのは12、14年の巨人だけだったが、今年はセで首位を争う広島、阪神が大いに健闘。1チーム18試合中残り2試合の時点で、パのソフトバンク、西武を加えた4球団に勝率1位のチャンスがあるという大混戦となった。17日に阪神、西武が脱落し、18日に広島が本拠地・マツダスタジアムでソフトバンクと雌雄を決するという劇的な展開に、詰めかけたファンは沸いた。
広島にとっては、球団史上初めて交流戦の頂点に立てるチャンスでもあった。試合前、緒方孝市監督が「選手たちにとっては(交流戦1位になることが)大きなモチベーションになっている」と言えば、石井琢朗打撃コーチも「キャンプからパのパワーピッチャーに力負けしないようにという課題を持って練習に取り組んできたから」と意気込みを語った。
一方で、三塁コーチスボックスに立つ河田雄祐外野守備走塁コーチは「今年の交流戦でここまでこられたのは巡り合わせにも恵まれていたから」とクールに分析。例えば、広島が3連勝した日本ハム戦は相手が投打ともにどん底の状態だった。「4番の中田(翔)が絶好調で、打率4割台の近藤(健介)がスタメン出場していたらどうなっていたかわからない」とナインを引き締めていた。
そうした広島サイドの盛り上がりに対し、ソフトバンク側で絶妙の切り返しを見せたのが達川光男ヘッドコーチである。スポーツ紙の担当記者を相手に、「明日の1面は全紙、この試合じゃろう。カープが初めて交流戦に〝優勝〟するかもしれんのじゃからな」と昔ながらの〝タッちゃん節〟を披露。カープの歴史に残る名捕手であり、監督も務めたこともある達川ヘッドにとって、この古巣との〝決戦〟はさぞかし力が入ったに違いない。そして、結果はその達川ヘッドのいるソフトバンクが広島に圧勝して終わった。
しかし、そうした中、何とも釈然としない疑問点がひとつ。ここまで盛り上がったのにもかかわらず、勝ったソフトバンクはあくまでも「勝率1位」であって「優勝」ではない、ということである。