吉田松陰は、言わずと知れた明治維新の精神的指導者、理論者です。
本書では、松陰を第一義的に実践的な兵学者として捉え、彼の論著を、何よりもまず時務に応じた戦略論として捉えていきます。兵学者としての役割を生き抜いた松陰を考察することにより、戦略と日本人の心との架橋の難しさについて見えてくるものがあるのではないでしょうか。
また、松陰が行ってきた「中華文明を明確に相対化し、日本を存在論的に位置づけし直し、そこから西洋文明と対峙する術を探し出した」ことについても触れています。
松陰が行ってきたこと、考えてきたことを通し、いまの日本がすべきこと、進むべき道が見えてくるきっかけになる一冊です。