毎年、毎年、異常気象の話が、テレビ、新聞を騒がせています。「地球が人間活動によって暖まっている」、あるいは、「地球の気候が狂ってきている」、「地球が破局に向かっている」などという話を聞いた経験のある人は多いことと思います。「このまま人間による野放図の化石燃料の使用が続けば、先に待っているのは破局だけだ」というような警告をする人もいます。右を見ても、左を見ても、「不安をあおる」ような話ばかりです。しかし、このような「不安をあおる話」は本当でしょうか?
客観的な、あるいは、科学的な道筋が確立していない分野では、いろいろなことを言う人が存在しますし、さまざまないかがわしい説が存在します。地球温暖化の問題も似たようなところがあります。温暖化の予測にしても完全とはいえません。完全な予測ができても、それは、確率的にならざるを得ません。地球温暖化に関しては冷静に物事を判断することが必要です。確かなこと、不確かなこと、今できること、今できないこと、今、しなければならないこと、すべきでないこと、を明確に分けておく必要があります。わからないことはわからないと残しておく必要があります。
まず確かなことは、「今のまま化石燃料を使い続けていけば、地球は温暖化するが、破局はしない」ということです。破局するとすれば、多量生産・多量消費・多量廃棄に慣れた現代社会の生活様式なのです。
本書では、地球温暖化をめぐる事実と、それから想定される結果について述べてみたいと思います。それらを理解して、将来、どうすればよいか腹を決めてください。国民の合意に伴い適切な政治的行為によって、新しい社会を構築していくことこそが、今、求められているのですから。(本書「はじめに」より)