したたか者の流儀

2017年7月16日

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パスカル・ヤン (Pascal Yan)

著述家

著述家。ルーヴァン・カトリック大学大学院中退(ベルギー)。証券マンとして25年間、欧州を中心に海外で過ごす。現在の職業は都内大学教授。

 

 「強いから勝ったのではない。勝ったから強いのだ」という言葉がある。「結果が真実を捏造する」どちらの言葉が肚に落ちますかと聞かれれば、答える前に最近の選挙結果を思い浮かべることであろう。米国、フランス、都知事の選挙結果について考えさせられる。

 ほかの国のことは知らないが、フランスの大統領選挙とそれに次ぐ国民議会選挙の結果を見ると、マクロンの強さに改めて感心してしまう。大統領就任後のすべてで、まっとうな言動と対応に感心してしまう。我が国で同様なことがあればハチの巣をつついた状態になる新閣僚のスキャンダルもうまくおさめている。

(iStock)

 ワイシャツを二枚重ねて着たりして、なかなかの洒落ものなのだろう。メガネはかけていない。知る限りかなりの近眼であったはずだ。徹夜の選挙戦でも美しい目をしているので高コンタクトレンズにしたのだろう。

 そこでメガネ。京都は本屋が多い。鹿児島は病院が多い。共に個人的な印象だ。パリには眼鏡屋が多い。フランスに着任して直ぐに激務からか、目が開かなくなった。目を開けると真っ赤に充血していた。あわてて、近くの眼科医に予約を取った。

 ビルの入り口には金看板があり「パリ大学医学部卒」「外人部隊眼科派遣医」「XX病院眼科部長」などと経歴が真鍮のグラビアとなっている。恐る恐る診察室に入る。日本であれば、視力検査からはじまり、血圧、検温で診察となる。目が悪いだけだと叫びたくなる。ところがフランスでは、ちょいと診て「当分コンタクトは禁止」「この病気はよくある。心配は全くない」「薬局でこの処方箋を出して薬を買ってください」「え、眼鏡を持っていない。午後三時に眼鏡用の視力検査を希望するならもう一度来てください」「今日は100ユーロです」

 素手で、医師みずから札を受け取り封筒に入れたので驚いたが、その他は完璧であった。 無事、眼鏡を調製して更に驚いた。日本円で10万円近いものであったが、結果的にタダとなったのだ。社会保険のおかげで年間一回、保険で眼鏡が作れるとのこと。手練れると、当面必要はないが、今年も一つ作ろうとなる。こんな不合理にマクロンはメスを入れようとしている。

 そもそも鳴り物入りで登場した若き大統領だが、その後は五月雨式にしか聞こえてこない。遠い国のことなので周波数を合わせないと情報がとれない。五月雨の一つが社会保障の再検討だろう。メガネ問題は一例だ。

 直近のパリ発共同電によると、7月14日の革命記念日のパレードの際にマクロン大統領の暗殺を計画したとしてテロ未遂容疑で男が逮捕されたと伝えている。さすれば、「ジャッカルの日」であり、マクロンはドゴール並みということにもなる。具体的な話は聞こえていないが、男が逮捕されたのは事実だ。

 その一方で、マクロン大統領は、上下両院すなわち、国民議会と元老院の国会議員1025人をベルサイユ宮殿に集めて演説した。君主制の名残りがあるベルサイユ宮殿での大統領演説は異例だそうだ。異例の演説の中で、議員たちを驚かせたのは、議員定数を三分の一削減する案と、ベルサイユ会議を定例化するということだろう。

 定数削減案は、議会で紛糾した場合には国民投票で決着するとした。微かにナポレオン帝政を感じてしまう。

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