2024年4月20日(土)

WEDGE REPORT

2017年7月17日

 トランプ大統領がまた失言した。

 と言っても、失言の帝王であるドナルド・トランプ大統領。就任してからこの半年間、彼の迷言、失言が話題にならなかった日のほうが少ないくらいなので、今更誰も驚かないかもしれない。

(写真:Abaca/アフロ)

 今回の失言は、フランスのマクロン大統領夫人のブリジットさんに対してのものである。

 映像を見ると、トランプ大統領はブリジットさんに向かってこう言っている。

You’re in such good shape.
You’re physically in good shape. Beautiful.

 日本ではこれは、「あなたはとてもスタイルがいい」と言った、セクハラ発言として報道されている。

 トランプ失言を庇うわけではないが、実はこれは誤訳だ。

 この誤訳によって、日本人はなぜトランプがこの発言によって批難されているのか、誤解をしているのである。

誤訳されたin good shape

 日本に配信されたロイターの記事(日本語版)には、こう書いてある。

 「あなたはとてもスタイルがいい」(You're in such good shape)と話しかけた。

 英語で暮らしている人間なら即時に理解することだが、このShapeとは実は体型を指しているのではない。

 ケンブリッジ辞書には、~in good shapeの意味がこう出ている。

To be prepared and ready to do something. (準備が整い、良い状態でいること)

 例えば、I’m in good shape for the presentation tomorrow. (明日のプレゼンの準備は万端だ)というように使う。

 要するに、ここでのshapeとは体形ではなく、状態のことを意味している。

 たとえば誰かと一緒にジョッギングやゴルフなどをした後で、You’re in good shape. と言ったら、「よく鍛えてますね」「体力ありますね」という意味だ。

 けれども社交の場で、特に親しくもない相手にいきなりYou’re in good shape.とは言わない。一見元気そうに見えても、実は病気を抱えているかもしれない。そんな個人的なことに踏み込むのはマナー違反なのだ。


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