海野素央の Love Trumps Hate

2017年2月21日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

 今回のテーマは「トランプ氏就任1カ月で見えてきたもの、見えてこないもの」です。ドナルド・トランプ氏が大統領に就任してから1カ月が経ちました。率直に言ってしまえば、乱気流の中での政権スタートになりました。本稿では、トランプ大統領のこの1カ月間の言動から見えてきたものと見えてこないものを整理してみます。

フロリダの支持者に出迎えられるトランプ大統領(GettyImages)

見えてきたもの

 第1に、「対立の構図」の活用です(図表1)。

 トランプ氏は大統領就任後も選挙モードから抜けておらず、相変わらず対立の構図を活用しています。ヒスパニック系、イスラム系、移民、難民、司法及び主要メディアを敵に回して支持層に訴えています。特に、主要メディアに対しては、偽ニュースであるとレッテルを貼り対決姿勢を崩していません。そこでもメディアの報道に関して「真実対もう一つの真実(うそ)」という対立の構図を作っているのです。

 トランプ大統領は「メディアは私の敵ではない。米国民の敵だ」とまで言い切りました。その意図は、米フォックスニュース以外の主要メディアを叩いて彼らに不信感を抱いている支持層を固めることです。裏返せば、同大統領は主要メディアと融和を図れば支持を失うのです。従って、同大統領の対立の構図を利用したスタイルは継続していくと見てよいでしょう。

 第2に、一貫性です。まずメッセージにおける一貫性があります。トランプ大統領は、核となるメッセージである「米国を再び偉大な国に取り戻す」を変えていません。

 次に、公約を果たし、強いリーダーを演出し、変革をもたらすという点に関しても一貫性があります。米ギャラップ社が実施した世論調査(2017年2月1-5日実施)によりますと、62%がトランプ大統領は「公約を守る」、59%が「強いリーダーで意思決定ができる」、53%が「国が必要としている変革をもたらすことができる」と回答をしています。中でも、「国が必要としている変革をもたらすことができる」は、2016年9月に実施したギャラップ社の調査結果と比較しますと、13ポイントも上昇しています。この点は看過できません。

 乱発する大統領令は、「変革」の象徴になっているのです。「公約」「強いリーダー」「意思決定」並びに「変革」は同大統領の強みであり、これらの3要素を意識してメッセージを発信する限り、大きく支持を失うことはないでしょう。

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