海野素央の Love Trumps Hate

2017年1月27日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

 今回のテーマは「予測不可能な言動をとるトランプを予測可能にする」です。ドナルド・トランプ米大統領の言動は、予測不可能だと言われています。ただ、これまでに予測可能な部分も見えてきました。そこで、本稿ではトランプ大統領の言動において予測可能な面を取り上げて整理してみます。

(GettyImages)

トランプループの罠

 トランプ米大統領の短文投稿サイト「ツイッター」の使い方にある行動パターンが存在します。それが「トランプループ」です(図表)。

 まずトランプ大統領は、アジェンダ(議題)を設定します。例えば、「雇用創出と製造業の維持」です。海外から米国内に雇用を取り戻すために、ツイッターを通じて工場をメキシコに移転した企業批判を行います。今回はフォードやトヨタなどの自動車メーカーが標的になりました。

 メディアは、トランプ大統領のツイッターの内容を取り上げて必ずニュースにします。同大統領が投稿した政策に関してメディアは企業に対して意見を求めるので、経営トップは反応せざるを得なくなるのです。

 一旦標的となった企業が反応すると、トランプ大統領はそれに関してツイッターでフィードバックを与えます。その内容が再度ニュースになるのです。このようなループの中に標的となった企業を落とし込めていき、米国内に工場新設や雇用増を引き出すという同大統領の戦略が予測可能になったと言えます。

 トランプ大統領は、共和党候補指名争いでトランプループの罠をすでに仕掛けていました。「国境の安全」及び「イスラム教徒の一時的米国入国禁止」などのアジェンダを設定してツイッターを武器にループの中に、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事を含んだ主要16人の候補を落とし込めていきました。その戦略を大統領に就任してからも積極的に使用しており、今後も継続してトランプループの罠を仕掛けてくることは間違いありません。

 トランプループに対する対策は、トランプ大統領のツイッターに投稿された内容に即座に反応しないことです。同大統領とは適切な距離を保つことが極めて重要になります。

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