海野素央の Love Trumps Hate

2017年1月19日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

 今回のテーマは「トランプホワイトハウスの組織上の問題点」です。ドナルド・トランプ新大統領は、従来型ではない組織をホワイトハウスに構築します。ではどのような組織になるのでしょうか。本稿ではトランプホワイトハウスの新組織の問題点について述べます。

(iStock)
 

スリートップ

 従来ならば、ホワイトハウスではスタッフの監督及び統括を行う大統領主席補佐官に全ての情報が集まり、彼が下から上がってきた情報の選別と優先順位を決定して大統領に上げていきます。情報チャネルの一本化がなされている訳です。

 ところが、トランプ氏はスリートップの組織図を作りました。同氏はホワイトハウスの首席戦略官兼上級顧問に極右ニュースサイト会長スティーブン・バノン氏、大統領主席補佐官に共和党全国委員長ラインス・プリーバス氏を起用しました。さらに、同氏は長女イバンカさんの夫であるジャレット・クシュナー氏も上級顧問に指名したのです。3人は職位において同列です。

3人の役割分担

 トランプホワイトハウスでは、3人の役割分担がなされます。まず、トランプ氏はプリーバス大統領主席補佐官をマイク・ペンス副大統領と共にホワイトハウスと主流派との調整役として活用します。バノン氏には選挙期間中と同様、トランプ氏を支持した「オルトライト」と呼ばれる極右勢力とのパイプ役に期待しています。

 次にクシュナー氏です。トランプ氏の内政並びに外交の相談役は、同氏が担う可能性が高いと言えます。さらに、大統領選挙及び政権移行チームでもそうでしたが、同氏はホワイトハウスにおいても人事権に介入し影響力を行使するでしょう。米メディアによりますと、大統領経済委員会委員長に起用されたゴールドマン・サックス社長兼最高執行責任者(COO)ゲリー・コーン氏は、クシュナー氏の推薦です。米メディアはゴールドマン・サックスがクシュナー氏の企業に融資をしていることが理由ではないかと報じています。

 大統領選挙期間中、トランプ氏はヒラリー・クリントン前国務長官がゴールドマン・サックスと癒着していると繰り返し非難しました。にもかかわらず同氏がコーン氏を起用した背景には、もし上の報道が正しければクシュナー氏の力が働いたということになります。

 『トランプが溺愛する義理の息子の正体』で説明しましたように、トランプ氏は若き頃の自分とクシュナー氏を重ね合わせているのです。両氏の間には、プリーバス氏やバノン氏の間にはない情緒的な絆が存在しています。トランプ新大統領とクシュナー上級顧問のパイプが最も太いので、同上級顧問に情報がより多く集まる可能性が高いのです。

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