海野素央の Love Trumps Hate

2017年2月17日

»著者プロフィール
著者
閉じる

海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

 今回のテーマは「火中の栗を拾った安倍首相」です。日米首脳会談では、ドナルド・トランプ米大統領の安倍晋三首相に対する破格の待遇が顕著に現れていました。両首脳はワシントンからフロリダ州へ大統領専用機で移動し、その後2カ所のゴルフ場で27ホールを一緒に回り、2日連続の夕食会も共にしました。本稿では、この待遇に隠されたトランプ大統領の意図を中心に述べていきます。

トランプ大統領から破格の待遇を受けた安倍首相(GettyImages)

ダメージコントロール

 破格の待遇の背景には少なくとも3つの意図が隠れています(図表1)。第1に、トランプ大統領は孤立していないリーダーを演出してダメージコントロールを行う必要があったのです。同大統領が署名した例のイスラム圏7カ国からの入国一時禁止の大統領令に関する政権側の主張は、控訴裁判所で退けられました。同大統領にとって敗北です。

 さらに、ヨーロッパ各国の政治指導者が上の大統領を非難しています。しかも、トランプ大統領は隣国メキシコのエンリケ・ペニャニエト大統領と良好な関係を築くことができていません。正に孤立状態にあったのです。そのような状況の中、唯一同大統領に好意的な安倍首相がホワイトハウスを訪問したのです。同大統領は同首相との蜜月ぶりを演出して、自分を熱烈に支持する政治指導者が存在するというメッセージを全米及び全世界に発信して、外交でポイントを稼ぐことによってダメージコントロールをしたのです。

関連記事

新着記事

»もっと見る