今月の旅指南

2017年8月23日

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狩野直美 (かのう・なおみ)

東京生まれ。フリーライター。旅行業界誌の記者・編集者を経て、1994年からフリーランスに。主に海外旅行関連誌、ウェブマガジン等に記事を執筆中。

 平安時代末期から鎌倉時代にかけて活躍し、日本で最も知られる仏師、運慶。ゆかりの深い奈良・興福寺の中金堂(ちゅうこんどう)が平成30年の落慶を目指して再建されるのを機に、今秋各地で守られてきた運慶とその親子三代の傑作を一堂に集めた、史上最大の展覧会が開催される。

運慶 国宝《無著菩薩立像》 鎌倉時代・建暦2年(1212)頃 奈良・興福寺蔵 六田知弘=写真

 運慶の生年は不明だが1150年頃といわれ、奈良の仏師だった父・康慶(こうけい)のもと造像の道に入る。兵火で焼亡した東大寺や興福寺の再興にかかわったほか、鎌倉幕府の依頼を受け諸寺で造像を手掛け、力強さを表現した独創的な作風を開花させた。

 会場には運慶が初めて手掛けたとみられる奈良・円成寺(えんじょうじ)の国宝「大日如来坐像(だいにちにょらいざぞう)」や、静岡・願成就院(がんじょうじゅいん)の国宝「毘沙門天立像(びしゃもんてんりゅうぞう)」、和歌山・金剛峯寺(こんごうぶじ)の国宝「八大童子(はちだいどうじ)立像」のうち6体、そして寺外初公開となる、愛知・瀧山寺(たきさんじ)の重文「聖観音菩薩(しょうかんのんぼさつ)立像」など、運慶の作風の流れを象徴する名作がそろう。

 なかでも晩年に造られた奈良・興福寺の「無著(むじゃく)菩薩立像」と「世親(せしん)菩薩立像」(いずれも国宝)は、写実性の高い見事な造形から肖像彫刻の最高傑作といわれる。この2体の像を守るように興福寺の国宝「四天王立像」が並ぶなど、博物館ならではの空間で鑑賞できるのも楽しみだ。

●興福寺中金堂再建記念特別展 運慶
 <開催日>2017年9月26日~11月26日*会期中、展示替えあり
 <開催場所>東京都台東区・東京国立博物館  平成館(山手線上野駅下車)
   <問>☎03-5777-8600

   URL:http://www.tnm.jp/
    http://unkei2017.jp/

*情報は2017年7月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください

  
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◆「ひととき」2017年9月号より

 

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