使えない上司・使えない部下

2017年8月18日

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吉田典史 (よしだ・のりふみ)

ジャーナリスト・記者・ライター

ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年から、フリー。
主に、人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。『悶える職場』(光文社)、
震災死』『あの日、「負け組社員」になった…―他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)『封印された震災死』(世界文化社)など。

 今回は、メンタルトレーニングの研究・指導で知られる西田文郎(ふみお)さんを取材した。西田さんは、多くの経営者や会社員、プロ野球やサッカーなどのスポーツ選手、教育者などの能力開発指導に長年たずさわってきた。大脳生理学と心理学を利用することで脳の機能にアプローチし、育成する手法(SBTスーパーブレイントレーニング)はよく知られる。経営者のための「西田塾」を主宰し、全国各地での講演を続ける一方、本などを書き著す。
西田さんにとっての「使えない上司・使えない部下」とは…。

(Stockbyte/iStock)

世の中には、2種類の人しかいません

 私は20代の頃、大企業に営業マンとして勤務していましたが、営業成績がとてもよかったのです。売上をどんどん伸ばし、自信をもっていましたから、生意気でした。上司から厳しく怒られた経験はありません。成績が抜群によかったから、怒ることができなかったのかもしれません。

 ごく一部の上司は、叱ってくれました。この方たちは非常に優秀でした。この連載のテーマの言葉でいえば、「使える上司」なのでしょうね。

 今にして思うのですが、抜群に優秀な人は少ないものです。ところが、部下からすると、上司が優秀に見えるのです。「上司だから、すごい」と権威付けて、錯覚しているのです。実は、脳がそのように思い込んでいるだけなのです。

 私の場合は、当時から自分を優秀だと信じていました。スタート時点では多くの人が経験はないのですから、自信がないはずです。ところが、優秀な人は「根拠のない自信」を持っています。その錯覚が、やがて「自分は優秀なのだ」という確信に変えていくのです。

 99%の人が常識で考えると「到底できない」と思っていることを、優秀な人は「自分ならば必ずできる」と信じています。脳が、そのように錯覚しているのです。困難なことや否定的な条件にぶち当たっても、乗り越えてしまいます。

 そのような人はふだんから「自分ならばできる」と思い込み、経験を積んでいます。場数を踏み、能力を高めていくうちにスキルや技術などの保有能力を身につけ、優秀な人になっていくのです。根拠のない自信が、根拠のある自信に変わっていくのです。

  世の中には、2種類の人しかいません。肯定的錯覚をしている人と否定的錯覚をしている人です。肯定的錯覚の人は、自分の力が平均のレベルより優れているという「優越の錯覚」をしています。きっとうまくいくと思い、仕事をするのです。一方で、否定的錯覚をする人は「どうせ、無理だ」「そんなことできないよ」とあきらめてしまいます。

 肯定的錯覚の人も否定的錯覚の人もその時点ではまだ、未来は来ていない。結果は出ていない。ところが、仕事をする姿勢がまったく違います。結果は、あえて比べるまでもないですね。

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