中国人観光客はいま

2017年10月12日

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中島恵 (なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年山梨県生まれ。新聞記者を経てフリージャーナリスト。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(ともに日本経済新聞出版社)、『爆買い後、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『なぜ中国人は財布を持たないのか』(日本経済新聞出版社)などがある。

――実際、上海でさまざまなイベントを行うことによって、日本のラムラ系列の飲食店へのインバウンドは増加しましたか?

上海の「土風炉」で提供している料理

呉氏:はい。日本、そして日本料理への関心が高まり、上海と東京のラムラが協力することで、日本の店舗への予約は非常に増えています。東京本社に予約センターがあり、そこでラムラグループの予約を受けています。個人や団体からの電話や、ウィーチャットのメッセージから予約が入ってくることもあります。

 上海の日本国総領事館や日本の大手企業などが集まって日本の情報を提供しているウィーチャットの公式アカウント『日本軽奢游』や中国の有名な飲食店予約サイト『大衆点評』、さらに中国や日本の旅行会社からも予約できるようになっています。

 「土風炉」を始め、中国のSNSで得た情報によって日本料理の知識が増え、「日本に行って、ぜひ〇〇を食べたい」という具体的な欲求が高まっているのだと思います。幸い、弊社には懐石料理、フランス料理、中華料理など一通りの料理店が揃っているので、お客様のご要望にお応えできていると思っています。

――どのような予約が増えているのでしょうか?

ラムラ餐飲上海 呉雯嵐総経理

呉氏:問い合わせ内容はさまざまですが、最初から弊社系列の店名を知っていてピンポイントで予約してくる人や、漠然と「懐石料理を食べたいのだけど、どういう店がありますか?」という場合もあります。最近の傾向は、こだわりのある人が増えてきているということです。たとえば、「日本酒の『十四代』を飲みたいので、置いてある店に行きたい」とか、「まだ食べたことのない珍しい料理はありますか」、「高級な焼肉が食べたい」などのリクエストです。

 とくに急激に増えているな、と感じるのは「和牛」の人気です。弊社には山形牛を食べられる店がありますので、そこをおススメしています。また、ステーキの専門店もありますが、フランス式のステーキを日本の和牛で食べられる店も人気があります。

――刺身や天ぷらといったかつての日本料理のイメージを超えて、知識が増え、嗜好も多様化してきているのですね。

呉氏:その通りです。日本の観光資源の中でも、美食は今後、中国人のインバウンドの重要なキーワードになるでしょう。懐石料理ももちろんいいのですが、ミシュランで評価された西洋式のレストランにも行ってみたいし、有名なラーメン店にも行きたい。居酒屋にも、焼き肉にも行きたい、ふぐの専門店にも、スイーツの店にも行きたい、何でも体験してみたい、と思っているのが今の中国人です。畳に直に座るお席などは大丈夫か、心配もあるのですが、お客様の中には「わからないけど、とりあえず、体験してみたい」という声もあります。

 お酒も産地の違うさまざまなワインや、希少な銘柄の日本酒、珍しいお酒にも興味があります。中国ではあまり食べられないもの、日本ならではの食べ物、飲み物への関心は、かつてないほど高まっているといっても過言ではないと思います。

――なるほど。そうすると、従来はインバウンドにはあまり関係がないと思われていた店舗やジャンルにとっても、希望が持てますね。

呉氏:そうですね。ただ、たとえば同じ「和牛」でも、中国人が検索してヒットしなければ、知名度は上がりませんし、いい料理を提供していても、探してもらうきっかけができません。弊社は上海の2店舗やイベントなどを通して知名度を上げ、日本に行けば、こういう店を紹介できる、というルートを構築できたので、その点、とてもよかったと思います。

 中国人が求めているのは「本場の味」「ホンモノの味」です。日本には無数の飲食店がありますが、中国人は「ここは日本人にも人気があるお店なのか?」ということを気にします。日本人に人気があって、日本で高く評価されているものを中国人も好んでいる、ということが、今後を占う上でひとつのポイントになってくるのでは、と思っています。

  
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