ベルリンで行われた世界最大の家電見本市「IFA2017」で一番残念だったのは韓サムスン。あのサムスン。IFAでも目立つ上に、アクセスしやすい所に、毎年ブースを構え、大盛況。特にテレビへの人だかりはスゴい。ところが今年は勝手が違っていた……。
「解像度」の次のテレビ技術
現在のテレビはデジタル技術の組み合わせでできている。全てではないが、基礎となる技術は確立された時点で、規格化され、全メーカーがそれに従う形が一般的。デジタル機器では、どのメーカーも基本性能が似るのは、それが理由だ。
テレビの場合、画質は大きく5つの要素から成り立つ。「解像度」は画像を構成するピクセル数を示す。ピクセル数が多い方が高画質。次は「ビット深度」。1画素が再現できる色の数を示す。多い方が高画質。「フレームレート」。1秒間に使う「コマ(フレーム)数」を示す。多いと動きが滑らかになる。(カクカクしない)「色域」。人間が認識できる色の内、どの部分を再現するか、その範囲。これも範囲が広い方が高画質。そして「輝度」。どの位明るいか。これも範囲が広いと高画質。
デジタルは、これらの情報を全て、2進法の数値、「0」「1」で表す。要するにはスィッチの「ON」、「OFF」という極めて単純な動作にすることができる。だからこそ、ネット回線で電送できるわけだ。ネットの基本でもある。逆に言うと、今の情報化社会は、デジタル技術抜きには形成できない。
そして、この情報を処理するのがCPU。パソコンの頭脳でもある。CPUは年々高性能に、情報の処理能力を上げている。よくアポロ11号を月に飛ばした大コンピューターは、今の数万円のPCに負けると言われるが、技術の進歩とはそんなものだ。
さて、皆さんが一番馴染みのあるテレビ技術(規格)はと問うと、返ってくる答えは、当然「解像度」だと思う。「2K」「4K」は元々マニアが使う言葉だったのが、今や誰もが使う。
先ほど、画質は5つの規格から決まると書いたが、なぜ「解像度」だけメジャーになったのだろうか? 理由は、一番初めに決めなければならないからだ。解像度が決まって初めて、何色が必要か、色数が決まる。解像度が低いと微妙な色は解らないので、少ない色数で済むのだ。解像度はCPUの制約も受けている。処理能力が不十分だと、4Kは2Kの4倍の情報量を処理できないからだ。
その意味では、2K放送(ハイビジョン放送)は、良いタイミングで切替したと言える。デジタル放送の標準として、ほぼベストのタイミングだった様に思う。地上波が2Kになったことで、「デジタル放送映像」の基本は、2Kとなった。
しかし2Kと4Kだと、先ほど書いたように、解像度だけでなく、再現する色数も違ってくる。理想のテレビ=肉眼で見た通りとなると、8Kと16Kの間にあると言われる肉眼の解像度を目指すことになる。それを理想とするなら、テレビはまだまだやることがあるのだ。