家電口論

2017年11月20日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

スマート家電グランプリ審査員。主催する『生活家電.com』を通じ、家電の新製品情報、使いこなし情報他を発信中。過去、某メーカーでAVメディアの商品企画を担当、オーディオ、光ディスクにも精通。また米・食味鑑定士の資格を有する。水、米、パン、珈琲、お茶の味に厳しい。

 11月、東京・秋葉原で、ベンチャー企業 tsumug(以下 ツムグ)の発表会が行われた。製品はスマートロック「TiNK(ティンク。以下 ティンク)」とそのサービス。それは製品としても、またツムグのベンチャー企業の育ち方としても非常に興味深いものだった。

発想は実体験から

 ツムグは、本社を福岡市に持つベンチャー企業。資本金は8973万5000円と1億円近い。いろいろな人から目を掛けてもらっているベンチャー企業といえる。スマートロック「ティンク」は『ロック』、いわゆる「鍵」だが、それは実体験から発想された製品だった。

 話はAさん(女性)が自分のマンションに帰ってきたところから始まる。鍵を開けて入ると、なんとなく違和感を覚える。畳んだはずの新聞が開いていたり、机の上に置いていたレシートがなくなっていたり。些細なこと。当然、『気のせい』で片付けたいと思う。しかし、その状態が続く。心の弱い人だと恐怖に怯え、自分のマンションに戻れなくなったりするかもしれない。まさに都市伝説になりそうな状況。

 普通、こんな時は、鍵の全取っ替えでニュートラルにする方法があるが、賃貸だとそう簡単には行かない。その上、お金も掛かる。多くの場合は、様子を見ようとなる。真相は、『元カレが、自分の知らないうちに合い鍵を作り不法侵入を繰り返していた』ということだったが、これが代表取締役を務める牧田恵里氏の実体験。体験をネットに載せると、瞬時に「そんな男は警察につきだしてしまえ!」など、いろいろなコメントがされると思うが、真相が分かるまでは、親御さんにも「あなたの思い間違え」ではないのかと、散々言われたそうだ。

怖い実体験をした、牧田恵里氏。『必要は発明の母』を地で行くこととなった

 自分も含めて一人暮らしの女性が、同じ目にあってはならない。そんな切実な想いから創られたのが、「次世代型 コネクティド ロック(Connected Lock)「ティンク」。最近多いIoT製品だ。

左)ティンクの外パーツ、右)ティンクの内パーツ

 ティンクは、外パーツ、内パーツの2つより構成される。物理的な「鍵」はなし。解錠は、数字認証、NFC(Near Field Communication。スイカ、パスモなど、電子マネー系に用いられている)、専用のスマホアプリによって行う。スマホはともかく、スイカで扉が開くのは、個人的にはちょっと妙な気分だ。外内 双方のパーツとも、今のシリンダー錠の穴にはめ込んで使える設計になっている。尚、電気はバッテリー供給で、約3カ月に1回、バッテリーを充電する必要がある。

 内パーツは、今のシリンダー錠の内側に似ているが、単体で独立しており、鍵穴がないため、扉外からの物理的な影響は受けない。(ピッキングで鍵を開けることができない)メインの通信機能などもこちらに全て収められており、重要な部分を護る。

 外パーツは、数字認証などで使用するテンキー、他が配置されている。シリンダー錠の穴で使うことも可能だが、どこに設定しても問題はない。

 また、振動センサー、加速度センサーなども付いており、ドアをガチャガチャされるなど、想定外の振動などが掛かるとオーナーのスマホに知らせる仕組みになっている。今、されていることが、リアルに掴めるのは、IoT製品の強みの一つである。

 でも、これだけだと今あるホームセキュリティシステムと違わないと言えば、違わない。起業してまでトライする部分は、どこだろうか?

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