世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年12月12日

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 11月7日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙社説は、中韓が関係改善に合意した裏で、日米韓の三カ国協力を妨げる中国の条件を文大統領が呑んでいたことを痛烈に批判しています。社説の要旨は、以下の通りです。

(iStock.com/tiero/tomap49/Hemera Technologies/dikobraziy/estherpoon)

 トランプ大統領は、文在寅大統領の北朝鮮を封じ込めるための協力を称賛した。しかし、最近の文の行動は、彼が信頼できない友人であることを示した。

 文大統領は、北朝鮮が核・ミサイル実験を続けている間も、対北宥和政策をとっている。北朝鮮に年間約1億ドルの外貨をもたらす開城工業団地の再開を望み、更に、文は米国のこの地域での政策に反対し、ミサイル防衛に関する中国の圧力に屈した。今年初め、韓国は、米国のTHAADミサイル配備に合意した。中国は、そのレーダーが自国のミサイル基地を監視しうると猛反対した。

 中国のより大きな懸念は、韓国が米国の他の同盟国とより緊密な関係になることである。トランプのアジア訪問の重要なテーマは、「自由で開かれたインド太平洋地域」を守るため、地域の民主主義国との協力体制を作ることであった。もし日韓協力が進めば、覇権を目指す中国にとって深刻な打撃になる。

 中国は、在韓米軍へのTHAAD配備を撤回させようと、文大統領に、外交的・経済的な打撃を与えた。中国内の韓国企業を閉鎖に追いやり、中国人が韓国に観光に行かないようにし、韓国ドラマの放送も中止した。

 そして先週、ついに文氏が中国に屈服した。韓国はTHAADのレーダーやランチャーを追加配備しないと中国に約束した。既に配備済みの6基のランチャーだけでは、ソウルを含む韓国北部をカバーできず、将来の北朝鮮の攻撃に対して脆弱になる。また、韓国は、米国の地域的なミサイル防衛体制に加わらないことや、将来、日米との軍事同盟には加わらないとも中国に約束した。

 ではこの見返りに韓国は何を得たのか。APEC開催のベトナムで、韓中会談を行うことや、年内に文が訪中することなどだ。中国は韓国製品の禁輸解禁を暗黙合意したが、北朝鮮への石油や食料支援を止めるかは不明である。

 文氏は米中との「バランス外交」を目指しているが、中国の圧力に屈し、自国と同盟国の安全保障について妥協することは、バランス外交とは言えない。

出典:Wall Street Journal ‘South Korea’s Bow to Beijing’ (November 7, 2017)
https://www.wsj.com/articles/south-koreas-bow-to-beijing-1510096661

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