WEDGE REPORT

2017年12月12日

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 エジプトはかつて旧ソ連の影響下にあったが、サダト大統領時代に米国寄りに外交方針を転換。以来、米国はこの40年間で700憶ドルもの巨額な援助を続けてきた。しかし、欧米の支配を嫌うシシ大統領がこのところロシアに接近、プーチン氏は米国に比べ、ほぼただで、空軍基地の使用を手に入れた。

 プーチン氏はエジプトからトルコに飛び、エルドアン大統領とも会談。最新鋭のS400迎撃ミサイルの売却で合意した。両首脳の会談はこれが今年8回目。北大西洋条約機構(NATO)の一員であるトルコとの関係を急速に強化しており、米欧の懸念に拍車を掛けている。

選挙向けに布石

 今回のシリア訪問はロシア国内政治を意識してのものでもある。プーチン氏は12月6日、来年3月18日の大統領選挙に通算4選を目指して出馬することを宣言。国民の愛国心の高まりを背景に80%という高い支持率を誇っており、再選が確実視されている。

 同氏は訪問時の発表で、テロとの戦いに勝利したとして、シリアでの軍事的成果を誇るとともに、2月初めから始まる選挙戦に先立ち、軍の撤収を決めて重荷を軽くし、野党からの批判に備えようという思惑が透けて見える。

 米紙などによると、プーチン氏4選出馬の影では、後継者争いが本格化。同氏に群がって利権という甘い汁を吸ってきたインナーサークルの面々は戦々恐々で、ポスト・プーチン時代にも、自分たちの利権を守れるよう、水面下では後継者探しが激化している、という。

 プーチン氏自身にとっても大統領を退陣した後の身の安泰を図ることが極めて重要になっている。大統領の任期は6年間、2024年までだが、自分の言いなりになる後継者を据えたとしても、後継者が失敗すれば、その後の政局によっては、プーチン氏自身も過去の罪を問われかねない。なによりも、スパイ出身の同氏は人を信用していない。

 このため一部では、プーチン氏が大統領退陣後も院政を敷くため、憲法を改正し、最高軍事評議会や最高安全保障評議会といった新しい組織を発足させ、自らがその議長に就任するつもりではないか、との憶測も呼んでいる。
 

  

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