海野素央の Love Trumps Hate

2017年12月24日

»著者プロフィール
著者
閉じる

海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

 今回のテーマは「ティラーソンの心境」です。ロイター通信及びグローバル世論調査会社イプソスが行った共同世論調査(12月1-5日実施)によれば、「トランプ政権内で、誰が次に辞職ないし解任されると思いますか」という質問に対して、22%がレックス・ティラーソン国務長官、14%がジェフ・セッションズ司法長官と回答しました。続いて、ケリーアン・コンウェイ大統領顧問とサーラ・ハッカビー・サンダース報道官がそれぞれ7%となっています。米国民は、ティラーソン国務長官が次に辞職ないし解雇されると考えているのです。

 本稿では、まず12月15日に開催された国連安全保障理事会における閣僚級会合で、利害関係国が北朝鮮問題に対して、どのような対処法を主張したのかを分析します。次に、ティラーソン国務長官の最近の発言を分析し、そのうえで同長官の心境を探ってみます。

(Photo by Drew Angerer/Getty Images)

コンフリクトの対処法

 コンフリクト(対立)が生じた場合、マネジャーやネゴシエーターはどのような対処法をとるのでしょうか。コンフリクトの研究で有名なトーマスとキルマンの5つの対処法のモデルを紹介したうえで、北朝鮮問題に応用してみましょう(図表)。

 彼らによれば、対処法の第1は「回避」です。回避型のマネジャーやネゴシエーターは、対立している相手に関心を示さず、距離をあけて、関係改善を図ろうとしない特徴があります。

 第2は「調和」です。調和型は、波風を立てるのを嫌い、コンフリクトを抑制するために自分の利益を犠牲にして、相手に同意する傾向があります。

 第3は「競争」です。競争は、調和と対照的な対処法です。自分の意思を相手に押し付け、彼らがどのように感じるかは関心がなく、あくまでも私欲と目標の達成を優先します。

 第4は「妥協」です。妥協型は、当事者全員にとって現実的で、しかも受け入れられる解決策を探ります。

 第5は「協働」です。協働型は、当事者同士が協働して問題解決に当たり、自己と相手の双方の利益、欲求及び目標を尊重する傾向があります。

 以下で、このモデルを使って、閣僚級会合における主要な利害関係国の対処法を説明します。

利害関係国にみる対処法の相違

 国連安全保障理事会の閣僚級会合で、ティラーソン米国務長官は、「対話を始める前に、北朝鮮は脅迫行為を停止しなければならない」と述べて、対話を開始する前提条件を突きつけました。さらに、閣僚級会合後、記者団に対して対話のチャネルは残されているとしながらも、米韓合同軍事演習の凍結、米国の独自制裁緩和及び人道支援を、対話の前提条件として受け入れないことを明らかにしました。

関連記事

新着記事

»もっと見る