チャイナ・ウォッチャーの視点

2018年1月12日

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小原凡司 (おはら・ぼんじ)

笹川平和財団 上席研究員

1963年生まれ。85年防衛大学校卒業、98年筑波大学大学院修士課程修了。駐中国防衛駐在官(海軍武官)、防衛省海上幕僚監部情報班長、海上自衛隊第21航空隊司令などを歴任。IHS Jane’s、東京財団研究員などを経て現職。

 2017年12月27日、中国国営の新華社が、「日本が『いずも』型護衛艦の空母化を検討している」と報じた。この記事を受けて、中国では「日本が憲法違反の攻撃能力を持つ」という意見もネット上に流れた。

 もちろん、中国は、日本の軍事力が強化されることについて警戒感を高めただろう。しかし、中国国内の反応は、予想されたよりはるかに低調だ。なぜ中国は、もっと強く日本を非難しなかったのだろうか。その疑問を解くために、まず、「いずも」とはどのような艦艇なのか、そして「空母化」すれば何ができるようになるのかを見てみたい。

空母化が検討される護衛艦「いずも」(写真:AFP/アフロ)

短距離離陸・垂直着陸ができるF-35Bを搭載

 「いずも」は、2015年3月に就役した日本最大の水上艦艇である。全長248メートル、幅(エレベーター部分を含まず)38メートル、基準排水量19,500トンで、満載排水量は26,000トンにもなる。艦載機としてヘリコプター約14機を搭載できる一方、必要に応じて多数の大型車両も収容可能である。上部構造物を右舷に寄せて全通甲板を採用し、5機のヘリコプターを同時運用できる。「空母型護衛艦」と呼ばれる所以である。同級2番艦として、2017年3月に就役したばかりの「かが」がある。

 すでに10機以上のヘリコプターを運用することができる空母型護衛艦の「いずも」を「空母化」するとは、簡単に言えば、固定翼機である戦闘機を運用できるようにすることだ。しかし、長さ250メートルに満たない飛行甲板では、戦闘機が通常離陸することはできない。

 300メートル強の飛行甲板を持つ中国の訓練空母「遼寧」も、スキージャンプ台を使わなければ戦闘機を離陸させることができないのだ。スキージャンプ台を使用しても、「遼寧」の艦載機は、燃料やミサイル等の弾薬を最大限搭載することができないとされる。重すぎて離陸できないのだ。

 330メートル以上の飛行甲板を持つ米海軍空母「ロナルド・レーガン」は、スキージャンプ台を備えていないものの、蒸気カタパルトを用いて航空機を射出することによって、燃料も弾薬も満載した航空機を発艦させることができる。

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