世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年1月24日

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 ウォール・ストリート・ジャーナル紙が「理論上のトランプ・ドクトリン:台頭する脅威についての現実主義と政策上の不接合」と題する社説を12月18日付けで掲載し、トランプが同日に発表した国家安全保障戦略についてコメントしています。社説の要旨は、次の通りです。

(iStock.com/imannaggia/ Lutsina Tatiana)

 トランプは米外交の急激な改革を選挙の際にしばしば主張したが、大統領としての1年目は、反対者が恐れ、レトリックが示したものより、ずっと普通の政策であった。今度の国家安全保障戦略も、もし実施されるならば、同様に安心できるものである。本文書のもっとも注目すべきテーマは、「世界がもっと危険になっている」との歓迎すべき現実主義である。

 文書は、次の通り論じている。中露は「修正主義国」であり、「米国の力、影響力、利益に挑戦」している。またイランと北朝鮮はならず者国家であり、「地域を不安定化」している。そして、ジハード主義者などがテロのリスクなど、国境を超える脅威をもたらしている。新しい技術が「弱い国家に力を与え、米本土・利益への脅威になっている」。

 今回の文書はこれらの脅威を地域的文脈におき、「米国に対抗して起きている地域バランスの変化は、わが安全保障を脅威に晒しうる」と正しく指摘している。

 文書は「米国は、インド太平洋、欧州、中東における不利な変化と対抗するために意思と能力を動員すべきであり、有利な力のバランスの維持は同盟国やパートナー国との協力を必要とする」と述べている。

 トランプがプーチンに友好的な態度をしばしば表明しているにもかかわらず、ロシアについて率直な評価をしていることは注意を引く。文書は「ロシアは米の影響力の弱体化、同盟国などとの離間を狙っている。世界の諸国の国内政治に干渉している」と述べている。

 戦略はウクライナを不安定化するロシアの試みに言及している。しかし、トランプはウクライナへの殺傷兵器供与を拒否している。オバマと同じである。トランプはイスラム国後のシリアをロシアとイランが支配することを放置している。トランプの対イラン言辞はオバマよりずっと厳しいが、彼の政策はそうでもない。

 この文書は、トランプ政権は、宗教的少数派や個人の尊厳など「米の価値を強調」するという。しかし、トランプ政権高官はこれらの価値についてあまり語らず、トランプは習近平やプーチンを称賛し、矛盾したメッセージも発してきた。

 トランプはこの戦略を明らかにするために異例にも演説をした。しかし、我々は彼の外交本能は個人的で取引的であると知っている。彼は取引を好み、相手を魅惑しようとする。この文書によれば、敵対者は魅惑などできない。「原則のある現実主義」の戦略は、オーバル・オフィスに確固とした原則を持つ現実主義者を必要とする。

出典:‘The Trump Doctrine, in Theory’(Wall Street Journal, December 18, 2017)
https://www.wsj.com/articles/the-trump-doctrine-in-theory-1513642862

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