ネット炎上のかけらを拾いに

2018年2月1日

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 前述した通り、パーソナルカラー診断とは、似合うコスメを見つけるために自分の肌の色を知る手段であって、優劣を競うものではない。「透明感のあるブルーベースの肌に憧れる」という女性ももちろんいるが、イエローベースの自分の肌が好きという女性もいるのだ。むしろ、女性誌の多くは「自分の個性を好きになろう」というテーマを掲げてもいる。いきなりの「救う」というフレーズに、戸惑いを感じた女性が多いのだろう。

 もちろん、「肌荒れから救う」とか「アンチエイジングの救世主」といったように、一般的にそれが悩みやコンプレックスであるという認識が強いものであれば、「救う」の言葉はそれほど大きな問題とはされなかっただろう。

 とはいえ多くの男性にとっては、「イエベ族を救う」というフレーズに女性たちが違和感を覚える気持ちが分からないかもしれないので、男性の場合でたとえてみよう。「ハゲ遺伝子を持つ人を救う」はわかっても、「黒髪族を救う」と聞いたら意味がわからないと思うのだ。「別に救われたいと思っていない」と感じないだろうか。

 次号予告の一行であるため、どのような内容となるのかはわからないし、次号以降に「ブルべ族を救う」も行われるのかもしれない。しかし内容がわからないだけに、「イエベをブルべに見せるためには、みたいな内容だったらどうしよう」と心配する人もいた。

勝手に“救済”するのは売る側の都合

 また一方で、こんな指摘もあった。

 「イエベ・ブルベの話題ってデリケートに扱わないといけないと思います。アイデンティティーを傷つけることは人種差別につながるというか、人種差別そのもの。どちらも尊重されるべき」

 「肌の色」を巡っては、昨年末のバラエティ番組で論争が起きたばかりだ。偶然かもしれないが、「民族」を連想させる「族」という言葉を使ったのも、間が悪かったように思える。

 さらに感じるのは、美容や健康系の商品に見られる「コンプレックス商法」が、そろそろ時代に合わなくなってきているのではないかということだ。たとえば女性向けの広告では「貧乳」「むくみ足」「彼氏に嫌われるムダ毛」といったように、コンプレックスを刺激するような言葉が並ぶ。何年か前に「ありのまま」が流行ったが、消費者が「ありのままの体でいい」と思ったら困るのは商品を売る側だ。

 「イエベ族を救う」に対する女性たちの反発は、「今のままの自分を受け入れながらメイクを楽しみたいのに、商品を売る側の都合で、無理矢理今のままではダメということにされたくない」という気持ちが隠れているのではないか。

 個人的には、イエベであれブルべであれ、デブであれハゲであれ老化であれ、外野から勝手に「救ってあげましょう」と言われない時代が早く来ないものかと思っている。
 

  
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