世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年2月13日

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 1月9日付の英フィナンシャル・タイムズ紙が、Brexit交渉の第二段階を迎えるに当たり、英国経済を守るために探求すべき最善の方策について論じています。論旨は、次の通りです。

(iStock.com/KobusSchoemanPhotography/EcoPic/CreativeStockHub)

 第一段階のBrexit交渉はEUのペースで進んだ。英国は400ないし450億ユーロの支払いと欧州司法裁判所が果たす役割に同意せざるを得なかった。2年の移行期間は早急に合意されるべきだが、貿易交渉には時間を要するので、この取決めを延長する選択肢は残しておくべきである。

 EUは、メイ首相のいう「深く特別なパートナーシップ」を難しくしている。EUは単一市場を形成する4つ(人、モノ、資本、サービス)の自由は不可分だと主張する。ノルウェー型かカナダ型かを選ばねばならないと主張する。

 英国の「離脱」の意味も複雑である。自由な人の移動、大きな金額の支払い及び欧州司法裁判所の管轄権は終わりだという。論理的には単一市場と関税同盟からも離脱することになるが、ある種の妥協は可能であろう。

 英国として政治的に譲れないのは移民制限である。厳しい国境管理を含まない取引には応じ難い。経済に最も害が少ないのは、単一市場と関税同盟に残留しながら、移民制限を認められることである。この「ノルウェー・マイナス」というべき型は、英国がEUのルールを甘受するという犠牲を払って経済を保護することになる。しかし、EUは特別誂えの取計らいはないと言っている。 

 次善の策はモノの貿易のための関税同盟の維持と可能な限り自由なサービス貿易の組合せである。関税同盟を離脱することは、サプライチェーンを立ち切り、アイルランド島にハードな国境を持ち込むリスクがある。関税同盟を離脱すれば、第三国と独自の貿易協定を結ぶことは出来るが、そのことでEUとの失われた貿易を埋め合わせることが出来るようには思われない。

 貿易交渉はユニークなものとなる。英国はEUとの密接な安全保障関係も維持されねばならない。薬品や航空等重要な規制機関にも居続ける必要がある。また、サービスの良好なアクセスを定めることが英国の国益になる。

 問題は金融サービスである。バルニエ首席交渉官はシティのための特別の取計らいはないと主張する。メイは、資産運用等の戦う価値のあるものと、株式先物取引等捨てて良いものを区別する必要がある。

 最終的な交渉結果を目にした時、有権者は思い直すかも知れない。議会もそれが国益かについて投票せねばならない。EUのメンバーシップには劣るが、その中での最善を目指さねばならない。そのことは英国が可能な限り欧州に近いところにあるべきことを意味する。

出典:Financial Times ‘Brexit Britain needs a special relationship with Europe’ (January 9, 2018)
https://www.ft.com/content/7a980a46-f176-11e7-b220-857e26d1aca4

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