2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年3月2日

 2018年2月8日、米国のペンス副大統領は、安倍総理や小野寺防衛大臣等との会談を含む一連の訪日日程を終え、次の訪問地韓国に発つ前に、米空軍横田基地にて、約2千人の米軍兵士や自衛隊員を前に、演説を行ないました。その要旨を以下に紹介します。

(iStock.com/Gugurat/UroshPetrovic/kudou/ TA2YO4NORI/Bill Chizek)

 日米両国は、長きにわたる同盟関係及び固い友情で結ばれ、自由への揺るぎないコミットメントをしている。日米同盟は、インド太平洋地域における平和、繁栄及び自由の礎石である。昨日、安倍総理と私(ペンス)は、日米の絆は今日ほど強固になったことはない、との認識で一致した。

 諸君は、どこでもどんな時でも誰にも負けない米国の強さを体現している。そして、米国は、世界史上、最も強い軍隊を有する。最高司令官である大統領は、昨年、この10年間で最高額の軍事予算の増額を決めた。本日は、大統領の指導力と超党派の議会の支持によって、レーガン政権以来の最高の国防投資を含む2年間の予算が決まったことを喜んで報告する。この8年間で最も高い軍人給与の増加を含む国防予算の増額は800億ドルに及ぶ。

 先週、政府は核戦力見直し(NPR)を発表した。核兵器を近代化することによって、我々の戦略はより柔軟性をもって、今日直面する脅威に対処可能となる。そして我々の核戦力によって、米国、米国民及び世界中の同盟諸国への戦略攻撃を抑止することができる。

 トランプ大統領も言ったように、「善が強い時のみ平和がいきわたる。」そして諸君がその強さである。諸君や諸君の前任者によってインド太平洋には平和が三四半世紀続いている。

 しかし、この状態を逆行させようとする者がいる。この地域における米国の影響力をそぎ、自国民を痛みつけ、世界を脅かす存在である。その典型が北朝鮮のならず者体制である。

 68年前(1950年)の6月、北朝鮮は自由主義の韓国に対して軍を進めた。しかし、米国軍の御蔭で、北朝鮮の征服戦争は失敗に終わった。そして今日も、将来も、米国は自由で誇り高き韓国民とともにある。

 しかし、それから数十年、北朝鮮の独裁者は、自国民を、トランプ大統領が「刑務所国家」と呼ぶところの状態においてきた。ある統計によると、およそ10万人の北朝鮮人が強制収容所に入れられている。政府に反対すれば投獄され、拷問され、さらには殺害される。彼らの子供や孫達まで、国家に対する家族の罪で処罰される。そして、 1990年代だけでも、飢餓と窮乏によって100万人以上の北朝鮮人が死亡した。全国民の70%(約1800万人)が食糧援助を必要としている。最も悲劇的なのは、5歳未満の10人の北朝鮮の子供のうち3人近くが栄養失調で衰弱している。

 北朝鮮は、今でも韓国を征服する夢を有している。そして、近年、北朝鮮は、日本、米国、そして地域の同盟国を脅かしている。北朝鮮は、自分達の目的を達成するために国際テロを長年支援してきた。そしてこの20年間は、可能な限りの資源を投入して核兵器と弾道ミサイルの開発を行なってきた。我々は、同盟国や友好国と協力して、平和的に北朝鮮の核計画を止めさせ、人々の苦痛を軽減するよう努力する。

 残念なことに、北朝鮮は、何度も約束を破り、挑発行為を繰り返しエスカレートさせてきた。昨年は、30日以内に2度、日本の領土の上空を越えて弾道ミサイルを発射し、同時期に、核実験も行った。

 日本など同盟国・友好国と協力して、米国は北朝鮮に前例のないほどの経済的、外交的圧力をかけてきた。昨日表明したように、北朝鮮が核とミサイルを放棄するまで、我々は最大限の圧力をかけ続ける。

 米国は常に平和を追求する。より良い未来のために努力する。ただ、全ての選択肢はテーブルの上にある。米国民や同盟国を脅かす者に対して、米国は、国土と同盟国をいつ、いかなる場所でも守る。

 諸君が負う責任は重く、不確実なことばかりである。しかし、私は、皆さんが勇気をもってそれを克服することを信じている。諸君の先輩方がかつてそうしたように。ここで私は、一人の人物を挙げたい。第45歩兵師団にいた少尉である。彼は、ここから数百マイルしか離れていない韓国に上陸し朝鮮戦争を戦った。20以上もの敵の攻撃に向かいうち、その功績が讃えられ勲章が与えられた。彼はもういないが、その勲章は私のホワイトハウスの机上にある。そこにはエドワード・ペンス大尉と刻まれている。私の父である。数時間後、私は父が戦って守った国、韓国を訪問するのである。

 今日、諸君は、このインド太平洋地域で自由を発展させようと犠牲を払った人達の歴史の線上にいる。私は諸君に心から感謝する。韓国では、父や朝鮮戦争で戦った全ての軍人を追悼したい。そして、この歴史ある土地に自由の光を絶やさないよう尽力している諸君やその家族に感謝したい。

 何世代にもわたり、米国は、素晴らし同盟国、日本とともに、インド太平洋地域を守ってきた。そして将来にもわたって守り続けるだろう。今日、時代を経ても、我々のコミットメントは揺るぎないもので、我々の精神は決して屈することがない。我々は自由を守る。日米両国は共に、何世代にもわたり、安全で繁栄した平和な将来を築くのである。

出典:‛Remarks by Vice President Pence to Troops at Yokota Air Base’ White House, February 8, 2018
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-vice-president-pence-troops-yokota-air-base/


新着記事

»もっと見る