モノ消費からコト消費へと移行している中国人観光客。中でも注目は医療や美容などの分野だ。1995年に東京都目黒区で開業した自由が丘クリニックは日本で最も古い美容クリニックのひとつだが、昨今、中国からの患者が増えているという。中国人は日本の美容医療に何を求めてやってきているのか。同クリニック理事長の古山登隆氏にお話をうかがった。
――中国人の間で美容医療への関心が高まっていると聞きますが、やはり増えているとお感じになりますか。
古山氏:そうですね。当クリニックは美容外科、美容皮膚科、エステなどの美容診療を行っていますが、2010年ごろまではほとんど日本人だけでした。ところが、5年ほど前の2012年ごろから少しずつ中国の方が増えてきて、3年前の2015年ごろに急増しました。現在は、全体の80%が日本人、20%が海外の方で、そのうちの95%が中国・韓国などアジア系です。
中国の方が増えているのは、彼らが海外旅行に行く機会が増え、日本に対する理解が深まってきた時期と重なっているのでは、と思います。韓国や台湾にも美容医療のドクターがたくさんいらっしゃいますが、日本の美容医療が認められてきた証拠でもあると受け止めています。
――現在、中国人の患者さんはどのくらいいらっしゃいますか。
古山氏:初診は月間で約100人。年間で約1200人に上ります。そのうちリピーターになる方は20~30%いらっしゃいます。
――中国人の患者さんの特徴はありますか。
古山氏:最初は20~30代の都市部に住む一人っ子世代の若い女性が多かったですが、次第にそのご両親も来るようになりましたので、20~50代くらいの方が多いです。家族が家族を紹介する形が多いですね。
20代の女性は若くて美しい人が多いのですが、さらに「もっときれいになりたい」と思い、美容意識が高い方や教育レベルの高い方が多いと思います。
また、中国大陸だけでなく、アメリカ、オーストラリア、カナダ、イギリスなどに住む中国人も増えており、わざわざ治療のために日本にやってきます。欧米に住んでいても、「肌質が近い同じアジア人のドクターに治療してほしい」と思うようです。もちろん、日本在住の中国人も増えています。
中国のSNSによるクチコミや、通訳派遣企業などのご紹介で、徐々に噂が広まり、海外の患者さんが増えていったという感じです。