2024年12月19日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年4月4日

 米国のマティス国防長官とエストニアのルイク国防相は、3月7日、ペンタゴンで会談し、NATOによるロシアに対するバルト3国防衛強化などを話し合った。エストニアは「サイバー先進国」としてもユニークな存在であり、注目すべき国である。国防相会談でのマティス長官の発言要旨は以下の通り。

(iStock.com/KavalenkavaVolha/Sylphe_7/Pixtum/Booblgum)

 今年エストニアが独立100周年を迎えることに、お祝い申し上げる。独立以来、両国は、共通の民主的価値と大西洋両岸の団結への願望に支えられ、強固な関係を築いてきた(注:エストニアは1918年にロシア帝国から独立したが、第二次世界大戦中にソ連に併合され、ソ連崩壊に伴い1991年に再独立)。

 米国はバルト諸国の防衛に断固として関与し続ける。NATOは領土保全に対する尊重を再強化し、国境線を武力で書き換えたり欧州諸国の外交・経済・安全保障上の決定に拒否権を行使しようとするロシアのような、共通の脅威に対する防衛を再強化している。ストルテンベルク事務総長が2月に述べた通り、NATOは新たな冷戦を望んでおらず、ロシアがより威圧的になっているので、我々はそれに対応しているのである。

 2012年以来、エストニアは「ウェールズ誓約」を達成し、GDPの2%以上を防衛費に充て、欧州防衛の負担分担と時代に即したNATOの維持への貴国の関与を示している。我々は、アフガンでの任務に40人の増派をするとのエストニアの提案にも感謝する。

 2007年の赤軍記念碑移転後のサイバー攻撃への貴国の現実的対応は、NATOサイバー防衛センター(NATO Cooperative Cyber Defense Centre of Excellence)の設立に繋がった。今日、貴国のこの分野におけるリーダーシップを認識し、サイバー協力の次の段階について議論する機会が得られた。我々は、この新たな競争の時代における貴国のリーダーシップに感謝する。

 エストニアの取り組みは、国の大きさよりも、自国と地域の安全保障への貢献ぶりのほうが重要であることを、身をもって示している(注:エストニアの人口は約130万人)。

 両国の軍事関係を強化するステップについて議論し、我々の自由が無傷のまま確実に次世代に受け継がれるようにしたい。

出典:James Mattis, ‘Remarks at Bilateral Meeting with Estonian Minister of Defence Luik’, The Pentagon, Washington, DC, March 7, 2018)
https://www.defense.gov/News/Speeches/Speech-View/Article/1460918/remarks-at-bilateral-meeting-with-estonian-minister-of-defence-luik/


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