ネット炎上のかけらを拾いに

2018年6月19日

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 未だに女性は蚊帳の外感。

(istock/Koldunov)

「恋する女子大生」のイメージ

 堅苦しいイメージのある業界が、少しでも多くの人に見てもらうためにポップな要素を取り入れようと頭をひねり、結果的にジェンダー系炎上をしてしまうことがある。

 ちょうど2年前の2016年6月、「ICT女子」というプロジェクトの炎上があったことを覚えている人はいるだろうか。ICT(情報通信技術)の周知の一環として、「ICT48」というグループのメンバー募集告知を行って炎上した。情報通信技術に興味関心の高い女性の発掘が名目であるのにも関わらず、年齢は13~24歳に限られ、応募用紙はアップと全身両方の写真を大きく貼り付ける仕様だった。

参考)炎上した「ICT女子プロジェクト」の奇妙なちぐはぐ感 
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7033

 この炎上を思い出したのが、日本化学会のPR動画の炎上だ。内容は、女子大生が男性教授(既婚者)に恋心を抱き、彼女の「片思い」を軸として日本化学会が紹介されていく。食パンをくわえたまま走る女子大生や、登場人物たちのやや過剰なせりふ回しなど、あえて恋愛ドラマ風に演出することで「クスリ」と笑わせることを狙ったと思われる。

 だがしかし。純粋に学問の場に興味を持たせたいならば、こうやってわざわざ恋愛要素を付加することは、今の時代において逆効果だ。毎日新聞の記事「時代錯誤なおじさんの夢? 批判受け動画削除」の中では、「時代錯誤なおじさんの夢のような内容で、どうしてこれで女性会員が増えると思えるのか理解できない」などと痛烈に批判されている。

 男子大生と女性教授の組み合わせで、このような動画は作られない。しかし、女子大生と男性教授の場合、「恋愛ドラマ風」が成り立ってしまう。そこに強烈なジェンダーバイアスがある。ごく自然に、男性教授に恋心を抱く女子大生を登場させてしまう、その無意識の壁を今世紀中に超えていけるだろうか。

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