WEDGE REPORT

2018年7月19日

»著者プロフィール

 千葉の鴨川と言えば「海」というイメージが強いが、「大山千枚田」という棚田をはじめとして「山」にも恵まれている。その鴨川市の山の中に「無印良品」の良品計画が運営する「里のMUJI みんなみの里」が4月末にオープンした。

「里のMUJI みんなみの里」

 もともと、1999年に鴨川市が総合交流ターミナル「みんなみの里」として設置し、地元の農業従事者を中心に構成された「鴨川市農林業体験交流協会」が指定管理者となり、直売所などを運営していた。

 ところが、鴨川市、南房総市、館山市など安房地域は全国でも有数の「道の駅」激戦区。このところ、売上、訪問者数ともに減少傾向が続いていた。そこで白羽の矢が立ったのが「無印良品」だったというわけだが、きっかけとなったのは、良品計画の社員の一人が鴨川市に移住したことだった。

通い詰めるなかで気づいた「地域に眠る資源」

「里のMUJI みんなみの里」 写真を拡大

 今やグローバルに展開する「無印良品」は、海外での店舗数が日本国内の店舗数を上回るという状況になった。1980年に誕生した「無印良品」は、大量生産・大量消費という状況へのアンチテーゼから生まれ、シンプルな商品で生活者の暮らしの「役に立つ」というコンセプトを打ち出してきた。

 ここにきて、いま一度発信すべきことは何か? と考えたときに出されたのが「地域の役に立つ」というものだった。

 こうしたなか鴨川市のNPO法人「うず」と良品計画で運営する里山保全活動である「鴨川里山トラスト」が2014年にスタートした。NPOは参加者の農業指導、良品計画はワークショップの告知、参加者の動員などを側面支援することになった。

 そこに、社員ボランティアとして毎月、鴨川に通っていたのが良品計画の高橋哲さんだ。「里山、里海、東京からすぐのところに、原風景が広がっていることに惹かれた」という高橋さんは、通い詰めるなかで「未利用、低利用」の資源があることに気がついた。実ったミカンなどの果実がそのまま放置されていたり、出荷できない雑魚(小魚)が廃棄されている現状があった。

高橋哲さん(株式会社良品計画 ソーシャルグッド事業部 ローカルグッド担当 課長代行)

 今後、良品計画が打ち出すべきコンセプトである「地域の役に立つ」を具現化する場として、2016年に鴨川サテライトオフィスが設置された。その担当として高橋さんは現地に赴任し、移住をして活動を始めた。

関連記事

新着記事

»もっと見る