WEDGE REPORT

2017年11月10日

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 「地方創生」「地域活性化」が叫ばれて久しく、知見も蓄積されてきている一方、まだまだ試行錯誤している地域は多い。押さえるべきポイントは一体どこにあるのか。多くの事例を知るじゃらんリサーチセンター・沢登次彦センター長に話を聞いた。

――第2次安倍政権発足時から掲げられ様々な取り組みが行なわれている「地方創生」ですが、その前からも当然、地域を活性化させるための施策は実施されてきていたと思います。「地方創生」の変遷について、教えて下さい。

沢登次彦さん

沢登:「人口減」「少子高齢化」が止められないことは自明であり、定住人口の増加が見込めなくなった以上、交流人口を増やしていくことで地域を活性化するしか手はありません。これまでの日本は前年を踏襲していれば何とかなってきたけれど、それではもう衰退してしまう。新たなイノベーションが必要とされています。

 大きなインパクトを与えたのが、増田寛也氏らが参加する日本創生会議が2014年に発表した「消滅可能性都市」でしょう。全国の市区町村の5割にあたる896自治体が、このままいけば「消滅」してしまう、ということで早急な人口対策が必要と提言しました。これが「既存の戦略では地域の課題は解決できないのでは?」「地方創生には地域経営の視点が必要」と気づくきっかけとなったのです。

 地域を一つの企業を見立てると、やれることはたくさんあります。一番取り組みやすいのが観光分野です。訪日外国人旅行者はどんどん増加し、都市部だけでなく地域に向けた集客が期待されています。

 2015年には、観光庁によって「日本版DMO(Destination Management / Marketing  Organization)」の登録制度が始まりました。DMOとは地域の観光資源に精通し、地元と連携しながら観光名所を作り出す法人で、スイスのツェルマットやアメリカのナパバレーなどがDMOの先行事例と言われています。海外では一般的でしたが、日本でも導入されました。

――地域の観光面における課題は何でしょうか。

沢登:5つあると思います。1つ目は、地域で「新しい価値創造」が少ない、ということ。過去の資源を守るとともに新しい価値を「自ら」創造していく必要性があります。2つ目は、「消費につながる受け入れ整備」が遅れていること。せっかく旅行者がきても、実はあまり消費していない。これはせっかくお店にきてくれたのに、リコメンドがうまくできずにお客さんが目的のものだけを買って帰ってしまう、という非常にもったいない状況です。いかに喜んで消費してもらうか。そのための情報発信をどうするか、という観点が必要だと感じます。

 3つ目は、地域と消費者の「マッチング」をおこしているか。地域の価値を消費者に伝える機能の強化は、観光業界の課題でしょう。4つ目は「人づくり・場づくり」の問題。地域のありたい未来について合意形成はできているか、一枚岩になれているか、物事を進めていくうえで非常に重要です。5つ目は「地域経営を行なう存在」が欠けていること。上記4点について責任をもってやり抜くのは誰か、どの組織か、ということです。

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