WEDGE REPORT

2018年7月25日

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米山秀隆 (よねやま・ひでたか)

富士通総研経済研究所 主席研究員

1986年筑波大学第三学群社会工学類卒業。89年筑波大学大学院経営・政策科学研究科修了。野村総合研究所、富士総合研究所を経て現職。専門は、住宅・土地政策、日本経済で、特に空き家問題に詳しい。主な著書に『限界マンション』『空き家急増の真実』(日本経済新聞出版社)などがある。

全国で空き地・空き家が急増し、登記簿などの情報を見ても直ちに所有者に辿り着くことが難しい所有者不明の物件が増えています。所有者不明の土地にいたっては、いずれは北海道の面積に相当するだろうと言われるほど。これまで価値があるとされてきた不動産ですが、マイナス価値の「負動産」と化しているのが現状です。こうした問題の有効な対策について、空き家問題に詳しく、『限界マンション』『空き家急増の真実』などの著書がある米山秀隆さんに、新刊著書『捨てられる土地と家』(ウェッジ)をもとに3回に分けて解説いただきます。
*1回目はこちら、2回目はこちら
(y-studio/iStock/Getty Images Plus)

後回しにされがちな「空き地対策」

 空き地対策は、空き家対策ほどは進んでいない。空家法に基づき特定空家を認定するため、自治体は空き家の実態調査を進めているが、空き地については、6割以上の自治体が「調査を行う予定はない」としている(国土交通省「空き地等に関する自治体アンケート」2017年)。また、空き家では空き家バンクなどを通じ、自治体が空き家の情報を公開し、需給のマッチングを行っている自治体が多いが、空き地についてはそうした仕組みを持っている自治体は1割程度に過ぎない。

 空き地所有者に対し適正な管理を促す空き地管理条例については、自治体アンケートでは、あると回答した自治体は35%にとどまった。空き家管理条例の制定が進み、空家法の制定にまでつながった空き家対策に比べ、自治体は空き地対策にはそれほど危機感を持って進めている状況にはない。

 空き家は建物が現存し、危険な状態になった場合の悪影響が大きく、また、過疎に悩む自治体にとってみればそこに何とか人を呼び込みたいとの考えから、対策に注力することになる。しかし、更地になった後の対策は、悪影響の度合いは小さくなり、後回しにされがちだと考えられる。

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