2024年4月24日(水)

今月の旅指南

2011年5月27日

 28歳という若さでこの世を去った天才画家、青木繁。2011年は没後100年に当たることから、大規模な回顧展が開催される。

 青木繁の単独回顧展は、実に39年ぶり。油彩画や水彩画、素描など、所在不明のものも含めて440点ほどあるという青木作品のうち、約230点が一堂に会する、これまでにないスケールのものとなる。

 10人の裸体の漁師が海からの恵みである魚を掲げて歩く姿を力強く描いた「海の幸」は、近代日本絵画を代表する名作として高い評価を得ている。その一方で、青木繁の短い生涯は、経済的な困窮や健康上の問題を抱え、晩年は家族との軋轢〔あつれき〕から放浪生活を送るなど、決して恵まれたものではなかった。

青木繁 「海の幸」(重文)
1904年 石橋財団石橋美術館所蔵


  展覧会は5つの章で構成され、青木の生涯そして没後の評価に至るまで、今や伝説となった天才画家の軌跡をたどることができる。

 生命力あふれる「海の幸」をはじめ、山幸彦・海幸彦の物語を題材にした「わだつみのいろこの宮」などの日本神話に基づく数多くの作品群から、青木が生きた明治浪漫主義の時代の息吹を感じてみたい。

 

没後100年 青木繁展 よみがえる神話と芸術
〈開催日〉2011年5月27日~7月10日
〈会場〉京都市左京区・京都国立近代美術館(東海道新幹線京都駅からバス)
〈問〉075(761)4111
http://www.momak.go.jp/

◆ 「ひととき」2011年6月号より

 

 

 

 

  

 
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