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2018年8月3日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 新築分譲マンションの市場動向調査を行い、毎月中旬にマンション供給戸数や契約率など各種調査結果を公表している不動産経済研究所の松田忠司・主任研究員に首都圏のマンション動向を聞いた。「都心部の需要は強く、衰えもみられない。東京オリンピック後に価格が下がるとは思えない」と強気の見方を示す。

( ZhangXun/Gettyimages)

価格が下がる要素はない

 「1~6月の平均価格は5962万円で引き続き堅調だ。今年下期は大規模再開発、超高層物件の供給が目立つ。都心での用地取得が難しくなったので、郊外の人気エリア、中でもターミナル駅周辺の開発にも注力するようになっている。例えば神奈川県の海老名駅などでは駅近タワーの発売があり、平均価格は6000万円弱となっている。デベロッパーは駅に近い、始発駅かどうかなど、より利便性のある立地での開発をしようとしている」

 と指摘する。新築マンションの供給量が減る一方で、中古物件の契約が増えている点について、

 「首都圏のマンション供給量は、2017年は3万5898戸で、1994年から2000年代半ばまで続いた年間8万戸時代の半分以下となったが、大手デベロッパー供給を絞ってこの数字になったのではない。住友不動産など大手総合不動産会社の何社かは大量供給期よりも現在の方が供給戸数を伸ばしている。全体の需要が落ち込んだ(大量供給期はバブル期に買えなかった層を取り込んだだけでなく、団塊ジュニア、ジュニアネクストの需要を先食いしていた)のが主要因だ。 

 松田忠司(まつだ・ただし)1974年生まれ。2004年に不動産経済研究所に入社、以来、一貫して不動産の調査部門に従事。

 リーマンショック前後の販売不振などからデベロッパー数も大量供給期には400社ほどあったのが、200社を切るまでに(現在は130社程度)減少している。中古物件が人気なのは新築の価格高騰で、そちらに流れているのは当然あるが、その大量供給期のストックが良質な物件として流通してきている点も大きい」

 と話す。マンション価格については「人件費が高止まりしている。資材も上がっており、コスト面からは価格が下がる要素はない」と指摘する。

 城南エリアは高くなり過ぎて、城北エリアが見直されている点については「城南エリアは価格高騰で15年から16年ころは厳しかったが、17年に一部価格調整が行われ人気が回復した」。郊外物件では、「流山市などが子育て層に人気で、18年1~6月の平均価格は4100万円程度」とのことだ。

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