自治体首長インタビュー

2018年8月6日

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 経済成長が鈍化する今、地方はこれまでのモデルのように交付金といった中央からの還付金で生き延びていくことが不可能となった。一方で、若い人材が中央に吸い取られてしまうという構造は変わっていない。こうした状況の中で、地方はどう生きていくのか。明確なビジョンがなければ10年後、20年後、自治体が存在できるのかさえ疑わしい。首長にそのビジョンを問いたい。

 第1回目は井崎義治流山市長にインタビュー。都内の駅で「母になるなら、流山市。」というポスターを見かけたことはあるだろうか。子育て世代である30代、40代の移住促進に力を入れたことによって街が活性化した流山市。子育て世代にとって住居を構える場所は当然重要で、共働き世帯が増加を続ける現代では都心回帰の傾向にあると言われているが、やはり一方で豊かな自然の中で子育てしたいという願望を抱く人も少なくはないはず。さらに現実的に日々の生活を回すためには、行政レベルの支援がどれほど充実しているかが死活問題だ。井崎市長にこれまでの取り組みについて聞いた。

「母になるなら、流山市。」のポスター

――「母になるなら、流山市。」のポスターが有名ですが、手厚い支援に魅力を感じた子育て世代の流入が目立ちます。

井崎市長:平成17年時点の流山市の人口構成図を見てみると、子育て世代である30代・40代の人口が明らかに少ないことが分かります。少子高齢化が進んでいく中で、まさにこの世代を呼び込むことの重要性は明らかでした。

 市長に就任した15年前、流山市の知名度は低く、良くも悪くもイメージが特にない、といった状況でした。逆にこれはチャンスでもあり、流山市は子育てしやすい街であることを知ってもらうために、実際の支援策はもちろん、それをどうアピールしていくかが大事と考え、市役所に「マーケティング課」を設けました。私は長年都市計画コンサルティングの仕事をしていたので、街づくりにおけるブランディングの重要性は認識していました。

――市役所に「マーケティング課」とは聞きなれないですが、職員などの反応は?

井崎市長:当然反発や戸惑いも大きかったです。課を立ち上げる前に私が講師となり、マーケティングを理解するための勉強会を半年間開き、課のリーダーは民間から公募しました。

 最初は「たまごクラブ」に2ページ、その後「ひよこクラブ」に4ページの記事広告を出しました。当時自治体がこういった子育て雑誌に広告出稿することはかなり珍しかったと思います。そこから挑戦的な自治体として少しずつ取材も増え、先の駅ポスターも注目を集め、人口増に繋がってきました。知名度と地域イメージが向上することで、選択市民比率(転入者のうち、そこを第一希望の居住地として住宅を検討した人の割合)も、今では66%となっています。

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