世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年8月27日

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 6月19日、米国ホワイト・ハウスの貿易・産業政策局は、「いかに中国の経済的攻勢が米国及び世界の技術及び知的財産を脅かしているか」と題する報告書を発表した。本文は、A4版35頁にわたるもので、ホワイト・ハウスのホーム・ページで読むことが出来る。同日、米大統領府が発表したプレス・リリースでは、次のように書かれている。

(txking/Littlewitz/LuminaStock/iStock)
 「本日、大統領府貿易・産業政策局(OTMP)は、中国の政策が、いかに米国の経済や国家安全保障を脅かしているかをまとめた報告書を公表した。」
 「OTMPは、中国が、‘中国製造2025’計画を通して、将来の経済成長を牽引する新興ハイテク企業をいかに掌握しようとしているかを調査した。中国が狙っている企業は、AI、宇宙等から高速鉄道や海運、更には新エネ自動車まである。『中国製造2025』企業の多くは、重要な国防への応用が効くものである。」
 「OTMPは、いかに中国が攻撃的に、米国の技術及び知的財産を、物理的ないしサイバーによる盗取、強制的技術移転を含む多様な方法で取得しようとしているかを明らかにした。中国は、米国の輸出管理や資源に関する輸出規制を侵害している。また、中国は、米国における600件以上のハイテクに対し、約200億ドル相当を投資している。」

 トランプ政権は、中国の知的財産権の盗用や不公正な貿易慣行は許せないとして、中国製品の輸入に報復関税を課している。中国が米国のハイテクに追いつくために、知的財産権の盗用や不公正な貿易慣行を実施し、それが中国のハイテク産業の育成に貢献してきたことは事実であり、米国がそれに反発するのは当然である。 

 しかし、いまや中国のハイテク分野での挑戦は、米国の優位を脅かすほどになっている。これに対して、報復関税の付加が、例えそれが効果を上げたとしても、中国の挑戦に対応するのには不十分である。 

 8月8日付のニューヨーク・タイムズ紙で、マサチューセッツ工科大学のリーフ学長は、中国の挑戦に対応する戦略として、技術優位を国策として推進すべきこと、産官学の協力を見直すこと、あらゆる地域であらゆる年齢層の才能の開発に努めるべきこと、世界中の最高の知能を受け入れられるような移民制度を維持すべきことを掲げている。このような戦略を支えるものとして、米国が数多くの第一級の大学を持っていることが大きな強みであると言うのは、その通りであろう。 

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