前向きに読み解く経済の裏側

2018年9月3日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 労働力不足が深刻です。今後も少子高齢化による労働力不足は続くでしょう。そうなると、企業としては高齢者を活用せざるをなくなるはずです。一方で、人生90年時代、100年時代を迎えて、元気な間は働きたい、と考える高齢者は増えるでしょうから、高齢者の雇用は需要面からも供給面からも増えるでしょう。

(primo-piano/Gettyimages)

 高齢者は、1日4時間しか働けない、といった体力的な問題を抱えている場合も多いでしょうが、雇う側から見て望ましい点も少なくありません。経験があること、総じて真面目であること、などに加えて、高い給料を要求しないことです。

 労働市場で高齢者は圧倒的に不利であることを知った上で仕事を探すわけですから、「老後のために少しでも稼げれば有難い」「世間との繋がりを維持して孤独を避けたい」「少しでも世の中の役に立っているという実感を得たい」といった謙虚な気持ちの高齢者が多いはずです。

 それを利用するとなると、「やりがい搾取」と揶揄されかねませんが、「やりがい搾取」というのは搾取される側も満足しているから成り立つわけで、ウインーウインの関係だとポジティブに捉えましょう。

 では、高齢者を活用するために、企業は何をすれば良いでしょうか。考えてみましょう。

 まずは、小さな失敗でノウハウを獲得することですね。いきなり大人数の高齢者を雇うのではなく、まずは1人か2人を雇ってみて、どんな問題が起き得るのか、それに対して如何なる制度や対策が必要なのかを見極めて、制度やマニュアルを整備することでしょう。短時間労働の人、体力に自信の無い人、忘れっぽい人、集中力が続かない人、等々を如何に活用していくか、様々な工夫が必要となるでしょう。

 おそらく、もっとも問題となるのが社内の融和でしょう。そのためには、腰の低い人を採用することが最も重要だと思われます。セカンドキャリアで働く人にとって、新しい職場は前の職場より規模が小さいでしょうから、「こんな零細企業は俺には不似合いだ」などと思いながら仕事をする人もいるでしょう。あるいは、自分より遥かに若い人にお仕えすることに抵抗感を覚える人もいるでしょう。そうした人を雇ってしまうと、社内の雰囲気が悪化しかねませんから、能力がありそうな人でも雇わないでおきましょう。

 正社員として雇ってしまうと、解雇は面倒でしょうから、「副業としてセカンドキャリアの助走をしたい」という人をアルバイトとして雇ってみるのは選択肢でしょうね。職場に馴染める人であれば正社員の仕事をオファーすれば良いし、そうでなければ別の人をアルバイトとして雇ってみれば良いわけです。

 働く方も職場に馴染めるか否か不安でしょうから、とりあえず働いて見て、仕事もこなせ、職場にも馴染めることが確認できたら、その時点で転職するか、定年を待って転職するかを決めれば良いわけです。

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