前向きに読み解く経済の裏側

2018年7月30日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 今回は『老後破産しないためのお金の教科書』の著者である塚崎が、投資の初心者が「高値で買って安値で売る」事が避けられて、しかも「安値で買って高値で売れる」ための心得について解説します。

(wutwhanfoto/GettyImages)

高値掴みを防ぐ積立投資

 株価の予測は困難です。とくに投資の初心者は株価が上昇している時に「今買わないと、2度と買えなくなる」と考えて高値掴みをすることが多いですし、株価が暴落すると「この世の終わりが来る」と考えて投げ売りをすることが多い、と言われています。

 そうした傾向があるのであれば、もっとも重要なことは「自分で投資のタイミングを判断しない」ということです。投資のタイミングを占いで決める方が、間違える確率が5割しかないので、自分で決めるより遥かにマシです(笑)。

 しかし、占いよりマシな方法もあります。積立投資です。毎月1株ずつ買っていく、毎月1万円ずつ買っていく、と自分で決めて、相場の動きを見ずに決められた通りに買うことです。実際には毎月1株、毎月1万円分の株、というのは難しいでしょうから、「投資信託を1万口ずつ」「投資信託を1万円分」といった投資になるのでしょうが。老後は反対に毎月少しずつ売って生活の足しにすれば良いのです。

 そうすれば、高い時も安い時も少しずつ買えるので、大儲けもできないかわりに大損の可能性もなく、「そこそこ」の投資となるでしょう。初心者にとっては、現役時代は平均的な値段で買えて、老後は平均的な値段で売れるわけですから、自分で判断するより良い結果となる可能性が高いでしょう。

 細かいことを言えば、毎月1株ずつ買うよりも、毎月1万円ずつ買う方が良さそうです。高い時には買う株数が減り、安い時には買う株数が増えるので、長期間を均すと平均より安い値段で買えていることになるからです。これを「ドルコスト平均法」と呼びます。

ドルコスト平均法が得な理由(初心者向け解説)

 5年間の株価が300円、200円、100円、200円、300円と推移したとしましょう。毎年3万円ずつ株を買っていた人は、100株、150株、300株、150株、100株の合計800株を買うことができました。所用金額は15万円でした。

 毎年150株ずつ買った人は、4万5000円、3万円、1万5000円、3万円、4万5000円の合計16万5000円を投資して750株しか買えませんでした。ドルコスト平均法よりも所用金額が多く、しかも買えた株数は少ないのです。

 こうした計算を何通りかやってみると、ドルコスト平均法の方が得だった、という場合が多い事が理解できるはずです。

 いまひとつ、ドルコスト平均法の長所は、予算オーバーにならないことです。毎月「100株ずつ買う」と決めた場合、株価が何倍にも値上がりすると、極端な場合には「給料を全部使っても決められた株数が買えない」といった事も起こり得ます。もちろん、その場合には「毎月100株ずつ買う」というルールを変更すれば良いのですが、それなら最初から買う金額を決めておいた法が良いですね。

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