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2018年12月7日

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フランス全土で8日、「ジレ・ジョーヌ」(フランス語でイエロー・ベスト、黄色いチョッキの意味)と呼ばれる反政府抗議行動が予定されていることを受け、首都パリの観光名所エッフェル塔は同日、閉鎖されることとなった。同塔の運営担当者が明らかにした。市街地で暴力行為が発生する恐れがあるためという。

エドゥアール・フィリップ仏首相は、8日の抗議行動に備え、フランス全土で警察官8万9000人、パリには装甲車も配備すると発表した。

警察当局は、パリのシャンゼリゼ通りにある商店やレストランに8日は閉店するよう呼びかけた。一部の美術館も閉館するという。

パリでは1日、過去数十年で最悪規模の抗議行動があった。

仏政府は、反発が強かった燃料税増税を2019年予算案から削除すると発表している。抗議行動の発端はこの増税だった。

しかし、政府に対する多様な不満が広がり、抗議行動は燃料増税以外の問題でも起きている。

政府当局の発言

仏内務省の関係筋はAFP通信に対し、8日には「重大な暴力」発生が予想されるため、当局として備えていると述べた。8日には極右、極左双方の活動家がパリに集まる計画という。

仏テレビ局TF1のインタビューでフィリップ首相は、パリに警察官8000人と装甲車12台が配備されると話した。

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フィリップ氏は、事態の沈静化をあらためて呼びかけたが、「抗議のために来るのではなく、破壊するために来る人もいる。思い通りにさせないためにも、対抗手段が必要だ」とも付け加えた。

これに先立ちフィリップ首相は、最低賃金労働者の支援対策に政府は前向きに取り組んでいくと上院に表明。反政府抗議勢力に譲歩を重ねる姿勢を示した。

パリへの影響は

8日の抗議行動が暴力的なものになる恐れから、「適切な警備状況」を確保するのが困難だとエッフェル塔の運営担当者は述べた。

凱旋門(がいせんもん)が先週のデモで損傷を受けたのを受け、パリ市当局は有名な観光名所に対する警備を強化する方針だ。

フランク・リステール仏文化相は、ルーヴル美術館やオルセー美術館、市内2箇所のオペラ劇場、複合施設グラン・パレなどの施設が週末に休館の予定だと述べた。

リステール文化相はラジオ局RTLに対し、「脅威をわかっていてリスクを取ることは出来ない」と話した。

警察はシャンゼリゼ通りや他の主要な商店街に並ぶ商店やレストランに、週末休業を求め、机や椅子など屋外に出している備品の撤去を呼びかけた。

8日に予定されているサッカーの試合も延期となる。対象となるのは、仏サッカー1部リーグ(リーグ・アン)のパリ対モンペリエ、モナコ対ニース、トゥールーズ対リヨン、サンテチエンヌ対マルセイユの各試合。

抗議行動の他の動き

6日には、若者による街頭抗議行動があった。参加者は教育改革に反対していた。

パリ西部にあるイヴリーヌ県マント=ラ=ジョリーでは、高校の外での抗議行動で140人以上が逮捕された。南部マルセイユ、西部ナント、そしてパリなどの都市でも、多くの学校が封鎖された。

生徒の多くは、エマニュエル・マクロン仏大統領が計画する、高校の卒業試験変更に反発している。「バカロレア」と呼ばれるこの試験は、大学入学に必要。

批判派は、改革が機会を制限し、不平等を生むと懸念している。

抗議しているのは誰なのか

フランスでは、全車両が視認性の高い蛍光黄色の服を搭載するよう法律で義務付けられている。この黄色のベストを着た人たちが道路で抗議をしているため、抗議行動は「ジレ・ジョーヌ」と呼ばれる。「ジレ・ジョーヌ」は当初、燃料税の急激な増税に抗議していた。

マクロン氏は増税の狙いを環境対策と述べたが、抗議者は国民の生活を把握していないと同氏を非難した。

政府は後に当初の増税案を廃止したが、抗議行動は衰えを見せなかった。「ジレ・ジョーヌ」は先週、主だった指導者がいないにもかかわらず、政府に対する40以上の要求を発表。最低年金の保証、税制の大幅変更、定年引き下げなどの要求を提示した。

抗議行動はソーシャルメディア経由で勢いを増しており、極左の無政府主義者から極右の国家主義者、その間にいる多くの中間層まで、幅広い参加者を集めている。

(英語記事 France protests: Eiffel Tower to close on Saturday amid Paris riot fears

提供元:https://www.bbc.com/japanese/46478102

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