ビジネススキルを活かして楽しむ脱力系子育てのススメ

2018年12月21日

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小川大介 (おがわ・だいすけ)

1973年生まれ。京都大学法学部卒業。学生時代から大学受験予備校、大手進学塾で受験国語の看板講師として活躍。難関中学、国公立大学医学部などへ多数の合格者を送り出す。2000年、さらなる学習指導の理想を追求し、中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1を設立。教科指導スキルに、声かけメソッド、逆算思考、習慣化指導を組み合わせ、短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。著書に『小川式[声かけ]メソッド』(宝島社)、『中学受験 基本のキ!』(共著:日経BP社)、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『論理力は小学6年間の国語で強くなる』(かんき出版)など。今年10歳になる男の子の父。

(SergeyNivens/iStock/Getty Images Plus)

自分のいいところを言えますか?

 先日、ある子育てセミナーで、参加者のお母さん達にこんな質問をしました。

 「みなさんは、自分のいいところはどんなところだと思いますか? 自分のいいところを教えてください」

 すると、会場は一瞬しーんと静まり返り、その後、「そんなものはありません」「そんなことは考えたこともありません」と答える人がほとんどでした。

 同じ質問を企業の人材育成セミナーで聞いたときも、同じような答えが返ってきました。

 仕事でも子育でも、日本人の多くは、自分のいいところを口にすることが苦手ですよね。そういうことに慣れていないし、言ってはいけないと思っている人もいるようです。

 でも、それは個人の性格というよりは、日本人特有の文化が影響しているように感じます。

 子育て世代である今の30~50代の人は、子どもの時からテストで学力を測られていました。よい成績をとり、より学力の高い学校を目指し、受験で勝ち、就職で勝つ。

 そうやって、より100点に近づくことを目指す教育を受けてきました。すると自然と、穴を潰すことが大事になってきます。教える側も間違いやダメなところばかりに目が向きますから、いわゆる「ダメ出し」のくり返しで育てられてきた世代といえます。

「ダメ出し」教育はもう時代遅れ

 また社会でも、日本は長い間、改良して、改新してより高品質なものを作ることに力を注いできました。その代表的な企業がトヨタですね。トヨタイズムは、完成度を高めることに重点を置くため、小さなミスを見逃しません。よいところを認め喜ぶよりも、粗がないかを探し、そこを改良・改新して、より精度の高いものを目指す。トヨタに限らず、日本の企業体質自体が長らくそのような傾向にあったと思います。

 それが、悪いことだと言いたいのではありません。私自身第二次ベビーブーマー世代で、18歳人口が200万人を超えていた時代を生きてきました。公立高校では、1学年のクラスが18クラスもあるような学校も珍しくなかった時代です。

 そのように人が溢れていた時には、中間層を底上げすることを目指して減点法で人を見ていくことにも、一定の意味はあったのだと思います。

 しかし、できていないところばかりに目を向ける「ダメ出し」教育は、人の自信を育てず、その人の持ち味を伸ばすことには向いていません。100人の中から精度の高い20人を選んで、その人達をさらに鍛えていけばよかった時代と違って、今は一人ひとりを伸ばしていく時代です。

 一人ひとりを伸ばすには、その人の持ち味を見極め、強化し、行動を促進していく関わり方が求められます。減点法から加点法に変わるイメージですね。

 メンター制や、チームビルディングの研究、1on1ミーティングの導入など、企業でも人材教育の手法は大きく変化してきているように、「ダメ出し」教育はもはや時代遅れなのです。

 ということは、私たち子育て世代は、自分の育てられ方を通して刷り込まれた教育観を、アップデートしていく必要があるわけです。

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