2024年11月21日(木)

WEDGE REPORT

2018年12月21日

2018年4月、米国は中国・中興通訊(ZTE)に対し、米企業との7年間の取引禁止の制裁を発動(7月に解除)した(BLOOMBERG/GETTYIMAGES)

 米国は2018年4月、通信機器大手の中国・中興通訊(ZTE)に対し、米企業との7年間の取引禁止の制裁を発動した(7月に解除)。この影響でZTEの2018年1~9月期決算は1170億円の赤字に転落した。

 また、米国は2018年8月に2019年度国防権限法を制定し、米政府の情報システムの調達企業から華為技術(ファーウェイ)、ZTE、ハイテラ・コミュニケーションズ、ハイクビジョン 、ダーファ・テクノロジーという中国企業5社を排除した。

 さらに同法には、ファーウェイ、ZTEの通信関連機器やサービスを「実質的、本質的に利用している企業との米政府機関の取引禁止」という項目も追加され、米政府と直接契約を結ぶ企業だけでなくその企業の三次サプライヤーまで、この2社の製品やサービスの不使用をチェックすることになった。

 これは北米市場において、米政府機関および米政府機関とビジネスをしている企業との取引を継続したい企業は、日本国内においても情報システムに2社の製品やサービスを利用できなくなったことを意味する。

 なお、2005年にIBMのパソコン事業部を買収した中国のレノボは、その後すぐにファイブアイズ・カントリーズ(情報共有の枠組みを一にする米、英、豪、加、ニュージーランド)のインテリジェンス機関で利用が禁止され、2006年には米政府の機密情報の取り扱い機器から除外されている。2016年には米空軍においても軍のネットワークからレノボ製品を排除する指示が流れた。こうした動きを踏まえると、レノボも米政府の「取引禁止リスト」に追加される可能性が高まっている。

 2018年10月にはペンス副大統領が中国との冷戦開始を宣言したと世界から受け止められる声明を発表した。ペンスは40分にわたる演説の中で、これまで米国がとってきた中国政策が意図した結果に結びつかず、今後は方針を変えて中国に対決姿勢で挑まなければならない理由を説明した。

18年10月にあった米ペンス副大統領の演説は、中国との冷戦開始を宣言したと世界から受け止められた
(BLOOMBERG/GETTYIMAGES)

 これについてクリントン政権の大統領経済諮問委員会のメンバーで、当時、日米経済摩擦に携わった米ピーターソン国際経済研究所のマーカス・ノーランド副所長が10月に来日し、「ペンスの演説は省庁としっかりと連携して策定されたものであり、米中冷戦のスタートを政府として宣言したと受け入れるべきだ」と明言した。


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